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生前に相続人が預金を取り込んだ疑いがある

相続税や贈与税がかからないようにするためには、自分の財産をできるだけ減らす方法があります。生前に預金口座から現金を引き出しておけば、自分の財産を減らすことになるのでしょうか。

ここでは生前に不自然な預金の引き出しがある場合に相続財産になるかどうかという点と、実際にあった国税不服審判所の裁決事例をご紹介します。

 

1.相続財産になるかという問題

1-1.相続財産となる場合

相続財産とは複数の相続人が話し合って(協議して)分割する前の遺産のことです。

まず始めに確認しておきたいのが、口座から現金を引き出すだけでは相続財産を減らしたことにはならないということです。

口座残高は減っていたとしても「手持ち現金」があればそれが相続財産となるからです。定期預金を解約して口座残高が0円になっていても、同様のことが言えます。

 

1-2.相続財産にならない場合

生前に引き出された現金が特定の人に贈与されている場合、贈与された金額はその人の相続税の課税価格に加算されます。

特定の誰かに贈与されている場合は相続財産になりませんが、その人自身の相続税の計算上加算されることになります。

ちなみに相続や贈与で手に入れた現金を国や地方公共団体、公益事業法人に寄付したり公益信託財産として支出したりすれば、その分だけ相続税の課税対象外とすることができます。といっても結局のところは、相続税ではなく寄付金という形に変えて国に納めることになります。

2.国税不服審判所による2つの裁決事例

2-1.生前に引き出された現金が使われた証拠がなく相続財産となった裁決

生前に引き出された現金を何かに使った証拠がなく、その引き出した現金が相続財産として相続税の課税対象となった裁決事例があります。

生前に5,000万円の現金を引き出すように被相続人から指示された相続人は、現金を引き出してから被相続人へ手渡しました。被相続人は、その3日後に亡くなりました。しかし、現金5,000万円がどこにいったのか分からないだけでなく、使ったとみられる証拠もありません。

被相続人のこれまでのライフスタイルからみても、たった3日間でギャンブルなどによって5000万円もの現金を浪費したということも考えにくい状況です。現金5,000万円が実際に存在しないとはいえ、使ったという証拠もないため、相続財産として認定されました。

2-2.隠し子へ渡した4,500万円が、被相続人からの預かり金ではなく贈与と認められ相続財産にならなかった裁決

こちらは相続財産を減らすことで相続税を減らす目的があった事案ではありません。

被相続人が隠し子に渡した4,500万円は預け金であるから被相続の財産(=相続財産)である、との主張をして4,500万円を返還させて、相続財産を増加させる目的で請求された内容です。

ここでは、被相続人から隠し子に渡った現金は預け金ではないと判断されました。

生前に多額の現金を誰かに一時的に預かってもらったとしても、贈与であると認められなければ、相続人は相続を受けた財産として相続税を納める必要があります。

生前に不自然な預金の引き出しがあった場合、どのような経緯があって引き出されたのか等によって相続財産となるかどうかが判断されます。判断に迷うことがあれば、すぐに相続問題に強い専門家へ相談するようにしましょう。

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