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遺留分とは、遺言に従うと相続財産がない法定相続人にも最低限保障されている相続分のようなものです。たとえば妻と子ども2人が法定相続人となっているときに、遺言で妻だけに相続させる旨が記載されていたとしても、他の法定相続人である子ども2人は遺留分を主張して相続財産の一部を受け取ることができるのです。
他方,他の法定相続人による遺留分の主張を許さず妻だけに遺産を相続させるためには、遺留分を主張できる権利を奪っておく必要があります。
しかし,残念ながら遺言で遺留分を放棄させることはできません。遺言で遺留分を放棄させることができれば、一部の相続人が,財産を独り占めするために他の相続人に対して遺留分を放棄するよう強要する恐れがあるからです。
ただし、家庭裁判所の許可があれば事前に遺留分を放棄させることは可能です。
家庭裁判所の許可をとる以外の方法として、相続人を廃除する方法があります。相続人を廃除すれば,排除された人は相続人でなくなるため、遺留分を主張できなくなります。
相続人を廃除する方法は、
という2つの方法があります。
家庭裁判所に申立てをしたとしても、確実に廃除することができるわけではありません。廃除するに至った背景などを考慮して、家庭裁判所が廃除するかどうかを決めるからです。
また、遺言で相続人を廃除する内容を記載したとしても、最終的には遺言執行人が家庭裁判所へ申立てを行うことになります。どちらの方法を選択したとしても、廃除するかどうかの最終判断は家庭裁判所が行います。
生前に相続させたくない人間を廃除することができなかったとしても、相続人に欠格原因があれば相続できなくなります(民法第891条)。たとえば、
といった客観的な事実があれば、家庭裁判所へ申立てをしなくてもその相続人は相続人としての資格を失うことになります。
これらの事実によって相続人の相続権がなくなったとしても、その相続人に子どもがいれば代襲相続人として相続権が継承されます。
代襲相続という制度がある以上、完全に相続権を奪うことはできないのです。
もし、これから作成する遺言の遺留分を放棄させたいが、どうしてよいかわからず困っている場合には、まずは一度、遺産問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
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このコラムの監修者
福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。
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