成年後見
後見制度は、今後の高齢化社会を見越して平成12年に導入された比較的新しい制度です。ご本人の状態によって、成年後見・保佐、補助の3種類があります。
高齢または障害によってご本人様の判断能力が弱った場合、ご本人様にとって何が最も適切かを考え、意思決定を支援するのが成年後見人(または保佐人・補助人)の役割です。
具体的には、施設入所を含めた介護サービスの選択決定や、財産管理を行います。
ご本人が自分の財産を管理できる状態になく、子どものうちの一人(同居者が典型)が事実上ご本人に代わって財産管理をしていることはよくあります。
しかし、その場合、ご本人の相続が開始した際、生前の財産管理が適切であったかどうか、親族間で紛糾する可能性が高くなります。
これを防ぐためには、事実として財産管理を行うだけではなく、家庭裁判所から成年後見人・保佐人・補助人としての選任を受けておくことをお勧めします。
この場合、家庭裁判所が財産管理を監督するので、他の親族と将来的に揉める可能性もなくなります。
また現在、神戸家庭裁判所の運用では、ある程度以上の財産(金融資産で1000万円~3000万)以上の資産をお持ちの方については親族を成年後見人につけることはしていません。
必ず専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士)をつけています。この場合費用はかかりますが、さらに将来の親族との紛糾が避けられるでしょう。
生前対策に関する記事一覧はこちら
このコラムの監修者
-
福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。
その他の相続コラム
特別方式遺言の種類について
相続お役立ちコラム遺言には「普通方式遺言」と「特別方式遺言」の2種類があることをご存じでしょうか。自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言など、平時の状態で作成する遺言は「普通方式遺言」で、普通方式遺言を作成できないケースにおいて「特別方式遺言」を作成します。「特別」の文字からもわかる通り、特別方式遺言はかなり特殊な状況下で作成されるものです。 ここでは、特別方式遺言の違い...
詳しく見る相続放棄と遺留分放棄の違い
生前対策はじめに 父が病に倒れもう長くはないことから、父の推定相続人である母と弟、兄である私と3人で相続について少し話をしました。 弟からは「実は父からまとまったお金を贈与されたことがあり、遺留分放棄の手続を済ませてある」と言って、遺留分放棄の許可書類を見せてもらいました。 遺留分の放棄とは何でしょうか。相続の放棄とは何か違うのですか? 遺留分は...
詳しく見る