贈与契約書とは
贈与契約は口約束だけでも成立しますが、実務上は「贈与契約書」という書面を作成するのが一般的です。
ここでは、贈与契約書を作成するときのポイントや贈与を行うときの注意点などについて紹介します。
目次
贈与契約書
そもそも贈与とは、誰かに無償でモノやお金をあげることをいいます。
贈与契約は、当事者の合意だけで成立する契約です。したがって、必ずしも書類は必要ではなく、口約束でも有効に成立します。
ただし、以下に挙げるような理由から、実務上は「贈与契約書」という形で契約の内容を書面に残しておくのが一般的です。
後のトラブルを防止するため
口約束は証拠が残らないため、後々、当事者間で「言った」「言わない」でトラブルになるおそれがあります。しかも、口約束でした贈与は簡単に撤回できるため、あげる側の意思1つで約束が反古にされる可能性も否定できません。
贈与契約書を作っておけば簡単には契約を撤回できなくなりますし、後に当事者間でトラブルになった際の証拠にもなります。
第三者に贈与があったことを証明するため
先ほども紹介したように、口約束では証拠が残らないため、第三者に対して「贈与があった事実」を証明できません。
したがって、不動産の登記名義を変更する手続きなどでは、贈与があったことを証明するために必ず贈与契約書が要求されます。
また、贈与に関しては税金の問題も絡んでくるため、税務署対策という意味でも贈与契約書は必須です。
贈与契約書の作成方法
贈与契約書の作成では、「いつ」「誰が」「誰に」「何を」贈与したのかを、明確に記載することがポイントになります。
不動産を贈与する場合は、不動産の所在・地番まで、きちんと記載しましょう。また、別途収入印紙も必要です。
なお、契約書の最後には、当事者双方の住所を書き、署名・押印します。
生前贈与を行う場合の注意点
来たるべき相続に備え、生前贈与をすることを考えている人もいるかもしれません。
生前贈与には、特定の財産をあげたい人に自由に渡すことができる、相続税対策になるなどのメリットもあります。
ただし、特に、高額の贈与については、贈与税・相続税といった税金の問題が絡んでくるので注意が必要です。
贈与税
年110万円を超える贈与は贈与税の対象となります。不動産を贈与する場合など110万円以上の贈与を行うときは、税金の納付を忘れないようにしましょう。
また、節税のために、贈与税が非課税となる110万円以下の贈与を何年間も続けて、結果的に特定の人にまとまった財産を残そうとしている場合も注意が必要です。
毎年同じ時期に贈与を行っていると、「最初からまとまった金額を一括で贈与するつもりだった」と税務署に疑われるおそれがあります。
毎年贈与する金額を変える、贈与する時期をずらすなど、「税金逃れ」と税務署に指摘されないようにするための対策を考えておきましょう。
相続税
相続発生から3年前までに贈与した財産は、相続財産の一部とみなされ、相続税の課税対象になってしまいます。
相続対策として贈与を考えている方は、相続税の問題にも注意しましょう。
贈与契約書に関する相談は弁護士に
生前贈与などの形で誰かに財産を残すことを考える場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。法律のプロである弁護士であれば、契約書の作成サポートはもちろん、贈与に関して起こり得る法的なトラブルにも対処できます。スムーズに贈与を行うためにも、一度アドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。
このコラムの監修者
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福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。
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