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故人が残した不動産を相続するとき、どのような手続が必要で、どんな税金が課されるのかご存じですか?もともと所有していた不動産を売却するのと、相続した不動産を売却するのでは手続や課税される税金が異なります。
今回は不動産を売却するときの流れと知っておくと便利な知識をご紹介します。
遺産の取り分を決める遺産分割協議を行います。相続する不動産を売却することについて相続人全員の同意が得られたら、遺産分割協議書を作成しましょう。
相続人が複数いる場合、遺産分割協議が成立するまでは相続人全員の共有財産としてみなされ、相続人の一人が勝手に不動産を売却することはできなくなり、売却する際は相続人全員の同意が必要となります。
遺産分割協議で相続人の同意が得られなければ、不動産の売却ができない上に相続人同士のトラブルに発展することもあります。相続人同士の話し合いでまとまらない場合は、相続に詳しい弁護士に依頼して、仲介役を担ってもらうか調停または裁判での解決を目指すこととなります。
法務局で不動産の所有権移転登記の手続を行いましょう。ここでは、登記申請書、相続人全員の印鑑証明書、固定資産税評価証明書、遺産分割協議書の提出が求められます。相続する不動産を売却する場合、被相続人から相続人に名義を変更してはじめて売却が可能となります。
名義の変更が終わると、いよいよ売却手続です。ここでは、不動産会社を一社に限定せず複数の不動産業者に依頼して査定価格を出してもらいましょう。
業者によっては数百万の差が出てくることもあれば、契約欲しさに高額な査定価格を提示してくるところもあります。適正価格で買い取ってくれる業者を探すと良いでしょう。
相続した不動産を売却する場合、次に挙げる税金が課されます。
不動産の所有権移転登記手続の際に発生します。
一定額以上の遺産を相続したときは相続税が発生します。原則として被相続人が死亡したことを知った日から10ヶ月以内に申告する必要があります。
不動産を売却したことで得られた利益に対して税金が課されます。ただし、利益が出なければ課税されません。
ただ、不動産を売却して利益が出た場合、相続税と譲渡税の2つの税金が課税されることに不満を持つ方もいらっしゃるでしょう。そこで、相続のあった日から3年10ヶ月以内に不動産を売却すれば「相続税の取得費加算の特例」により、税金が軽減されることがあります。
今回は、不動産を売却するにあたって知っておいて損はない知識をご紹介いたしました。遺産分割協議に関することや、移転登記、税金のことまで、詳しいことは相続に詳しい弁護士・税理士・司法書士などにお問い合わせください。
当事務所では、弁護士のほかに税理士・司法書士・宅建業者・ライフプランナーと連携していますのでご相談ください。
このコラムの監修者
福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。
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