生活保護受給者は成年後見人になれるのか
成年後見人になれるのは、どのような人なのでしょうか。この記事では、生活保護を受けている人は成年後見人になれるのかなど、成年後見人になれる人の条件について解説します。
目次
生活保護受給者でも成年後見人になれるのか
成年後見人とは、判断能力が低下した本人に代わり、財産の管理や契約の締結などを行う人のことをいいます。
最終的に後見人として認めてもらえるかどうかには家庭裁判所の判断を待つ必要がありますが、候補者になるのに特に資格は必要ありません。
民法847条にある欠格事由に当てはまらない人であれば、誰でも成年後見人になることができます。
また、民法847条に掲げられた欠格事由の中には、「生活保護受給者であること」は入っていません。したがって、現在生活保護を受けている方でも、欠格事由がなければ問題なく成年後見人になることができます。
成年後見人になれない人とは
それでは、民法847条で定められた欠格事由により、成年後見人になれない人にはどのような人がいるのでしょうか。以下、詳しく見ていくことにしましょう。
未成年者
心身が成熟しておらず、また社会経験にも乏しい未成年者は、民法上はまだ判断能力が十分にないと考えられています。したがって、後見人になることもできません。
過去に後見人を解任された履歴のある人
過去に他の人の後見人になったものの、解任された履歴がある人は、後見人になることができません。
後見人にふさわしくない振る舞い(不正行為など)が原因で解任されているため、適切な職務の遂行が期待できないからです。
自己破産した人
自己破産をした人も、後見人になることはできません。
自己破産をした人は、そもそも自分の財産を管理する権限もない状態であるため、他人の財産管理などを含む業務を適切に遂行するのは期待できないと考えられているからです。
ただし、破産をした人でも、免責を受けた人は後見人になることができます。
被後見人に対して訴訟を起こした人及び配偶者、その直系血族
被後見人に対して訴訟を起こした人、及びその家族も、成年後見人になれません。被後見人となった人と利害関係が対立しているため、被後見人の利益を保護する立場につくのは不適切と考えられているからです。
もっとも訴訟が解決し、利害関係がなくなれば欠格事由がなくなるため、問題なく後見人になることができます。
行方不明になっている人
音信不通の親族など、現在行方がわからない・連絡が取れない人に、後見人が行うべき事務の仕事をお願いするのは無理があります。したがって、こうした人を成年後見人に選ぶことはできません。
成年後見制度を利用するなら弁護士に相談を
後見人を誰にするかは、最終的に家庭裁判所の判断に委ねられています。たとえ欠格事由がなくても、候補者の財産状況などによっては、家庭裁判所が後見人として認めてくれない、という事態も十分考えられます。
こうしたリスクをできるだけ避けるためには、弁護士に相談し、法的なアドバイスを受けることが大切です。弁護士であれば、家庭裁判所への申し立てのサポートはもちろん、身内に候補者としてふさわしい人がいないような場合には代わりに後見人になることもできます。状況によって適切なアドバイスが可能ですので、まずは気軽にご相談ください。
1416Words
このコラムの監修者
-
福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。
その他の相続コラム
遺言書を発見したらどうすればいい?
故人が残された親族に思いを託す大切な遺言書。遺言書は様々な法律や後の手続に絡むため、その扱いには注意が必要です。 今回は遺言書の正しい扱い方を解説していきます。 1 まずは遺言書の保管 遺言書が見つかるほとんどのケースは、自宅において自筆で書かれた遺言が見つかるものです。 遺言が見つかった場合、まずは紛失しないよう大切に保管しましょう。封がされている...
詳しく見るなぜ弁護士が遺言を薦めるのか
遺言書の作成自分の死後に相続人同士で相続争いをしないためにも、遺言書は作成するべきです。こうした遺言書の必要性は弁護士に限らず、ネットニュースなどでもよく訴えられています。 とはいえ、遺言書を書き始めようとすると自分の財産を把握したり、有効な遺言書として認められるための要件を確認したりと、思いのほか煩わしく、後回しにしてしまいがちです。 それでも弁護士が遺言...
詳しく見る