



相続トラブルを事前に防ぐためにも、自分に万が一のことがある前に遺言書を残しておくことが大切です。ここでは、遺言書を作成するべきタイミングなどについて解説しています。
遺言書は、自分の死後、残された家族のために、財産の分け方などについて自分の意思を伝えるためのものです。
もし遺言がないと、遺産は法定相続、あるいは相続人全員での話し合い(遺産分割協議)で決めることになります。
しかし、話し合いがうまくいけばいいのですが、誰か1人でも財産の分け方に不満がある人がいると、話がまとまらず、争いになってしまうリスクがあります。
相続を「争続」にしないためにも、あらかじめ遺言書を用意しておくことは重要です。
「まだ若いから」と遺言書を書くのに、積極的でない人も多いようです。しかし、「もう少し年を取ってから」と先延ばしにしていると、遺言書を残すチャンスがそもそもめぐってこないおそれがあります。
不慮の事故や心疾患などで急死する可能性も十分あるからです。
さらに、脳血管疾患で後遺症が残った場合や認知症になった場合のように、自分で遺言が残せなくなってしまう場合も考えられます。
人生には不測の事態が付き物です。後の争いを防ぐためにも、元気なうちに遺言書を作成するのが望ましいといえるでしょう。
30代、40代のうちに書いておいても、決して早すぎるということはありません。
それでは、実際遺言書を書いた方がよいタイミングとしては、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、遺言書を書くべきタイミングについて解説します。
1つ目は、家族構成が変わったときです。例えば、結婚後、配偶者に「できるだけ多くの遺産を多く残したい」と考える人もいるかもしれません。しかし、このとき、配偶者に子供がいないまま本人が死亡すると、本人の親や兄弟にも相続権が発生します。こうしたケースでは、遺言書をきちんと書いておくことで、他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で、法定相続分よりも多い金額の財産を配偶者に残すことができます。
また、子供ができた場合や、配偶者が亡くなった場合なども、遺言を作成する、あるいは新しく遺言を作り直すことを考えるべきタイミングです。
誰にどの財産を残すのか。それを明確に決めておくことが、残された家族の幸せを守ることにつながります。
不動産(マイホームを含む)を買ったときなど、財産状況に大きな変化があったときも、遺言の作成を考えるべきタイミングです。
例えば、「自宅の土地・建物は配偶者に残したい」など自分の意思を明らかにしておけば、残った自宅が売却されるような事態もある程度防げます。
実際に遺言書を書くときには、いくつか注意点もあります。
何度か書き直す場合は複数の遺言書があるとかえって混乱が生じる場合もありますし、そもそも自筆で作成する場合は遺言が無効になるリスクもあるからです。
きちんとした遺言書を残すためにも、一度弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。
このコラムの監修者
福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。
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