遺産分割協議書を守らない相続人にはどうすればよい? |生前対策・遺言書作成など相続相談なら神戸の福田法律事務所

神戸の相続に強い 福田法律事務所
相談料0円 078-366-6760までお気軽にお電話ください(受付時間 平日9:00〜17:00) WEBでのご相談は24時間受付中
相続コラム画像

遺産分割協議書を守らない相続人にはどうすればよい?

相続が発生した場合、相続人は全員で遺産を分割するための協議を行います。
その際に、協議の内容をまとめ遺産分割協議書を作成し、相続人はそれに基づいて遺産を分割しなければなりません。

しかし、時に協議書の内容を守らない相続人との間でトラブルになるケースもあります。
この場合、どのように対処すればいいのか知りたい方は多いでしょう。

今回は遺産分割協議書に従わない相続人への対処法について解説していきます。

 

遺産分割協議書を白紙にできるのか

遺産分割協議書の内容を守らない相続人がいる場合、一度決めた内容を白紙にして再協議したいと意見が出る場合があります。
 

基本的に成立した協議内容を白紙にすることはできない

過去の裁判でも、白紙は認められないという判決が下ったケースは多いです。
理由は、遺産分割協議自体は同意を得て成立した時点で終了となるので、決まった内容に関する問題が生じた時は、相続人同士で解決しなければならないとされています。

また、協議の解除を認めてしまうと、民法909条では遺産の再分割の効果が相続開始までに遡ってしまいます。

そのため、始めの協議を前提とする行為自体が無効となってしまい、法的な安定性が大いに害されると見なされます。

この2点を理由に、裁判では白紙撤回が認められませんでした。
 

白紙撤回が認められるケース

例えば、相続人の一部を除いた状態で遺産分割を行った場合や、意思表示に事実とは異なる誤解があった時、判断能力のない相続人が加わって行われた遺産分割協議だった場合は白紙が認められる可能性があります。

さらに、相続人の全員が白紙を望む場合も、遺産分割協議書を無効にすることは可能です。
もし相続人の中に遺産分割協議書に従わず、全員が再協議を望むのであれば白紙にして協議し直すというのも一つの手です。

しかし、その必要がないのであれば、白紙にしないままでいた方が良いでしょう。

 

遺産分割協議書の義務を守ってもらえない時の対応

他の相続人が遺産分割協議書の義務を守ってくれないとスムーズに遺産分割が進められないので困ってしまうでしょう。ここからは義務を守ってくれないケースと、その時の対処法をご紹介します。
 

不動産の名義変更に応じてくれない場合

被相続人の不動産を相続する場合、所有権の移転登記が必要です。
遺産分割協議の決定で所有権移転登記を申請する際は、申込書類に相続人全員分の記名と押印が要ります。

さらに、被相続人や相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、協議書に押した相続人分の印鑑証明や住民票の写しも添付しなければなりません。

しかし、ここで押印や書類の提出を拒む相続人がいる場合、不動産の名義変更がスムーズできないと悩むでしょう。

この場合、相続人の実印が押されており、さらに実印の印鑑証明書があれば、それを添付書類にでき、登記の申請手続きを進めることは可能です。
また、不備のある書類を出して名義変更を拒む相続人もいるでしょう。

協議自体は成立しているので、家庭裁判所で遺産分割の審判を申立てても対象にはなりません。

ところが、正しく作成された遺産分割協議書である場合、調停や訴訟で書類の不備を正してから名義変更の手続きを進めることができます。
 

不動産の分割で代償金を支払ってもらえない

不動産も分割する財産となるので、1つの不動産を1人の相続人が取得する場合は代償金を他の相続人に支払わなければなりません。

しかし、代償金が支払えないと主張して、支払いを拒んだり、行方をくらましたりする場合があります。

この場合、義務を守らない相続人が取得した不動産に対して、仮差押えを申立てると良いでしょう。仮差押えを申立てると、不動産を取得した相続人は自由に不動産を売ることができなくなります。

相手にプレッシャーを与えることで、代償金の支払い交渉を優位に進められるでしょう。
確実に代償金を支払ってもらえるように、毎月の分割払いや相手が保有する他の不動産に一番抵当権の設定を提案すると良いです。

一番抵当権とは、不動産を担保にお金を借りて返済ができない場合、設定した不動産が優先的に売却されてお金が回収される権利のことです。

もし代償金の支払いが滞った場合、一番抵当権に設定された不動産を売却した金額を受け取れることになるので、相手に強いプレッシャーをかけられます。

 

遺産分割協議は弁護士に相談

遺産分割は穏やかに済ませたいと思っていても、お金が絡む話なのでなかなかまとまらず、また合意が成立してもトラブルが起きやすいです。

協議が揉めてばかりでまとまらない、白紙になり再協議が必要となった、他の相続人が従ってくれないなど、遺産相続で問題があれば弁護士の相談してみましょう。

弁護士に遺産相続について相談すると、次のようなメリットが得られます。
 

登場してもらうだけでも場がまとまる可能性がある

法律の専門家なので、弁護士が登場しただけで他の相続人が静かになる可能性があります。
その間に、弁護士は公平な分割になるように提案してくれるので、話し合いを進めていきましょう。
 

遺産相続の損を知りながら協議を進められます

遺産相続の中には相続人にとって得をしないことが起きる場合もあります。

法律や相続について詳しい弁護士がいれば、相続に関する損を伝えた上で協議をまとめてくれます。

相続人も相続することで得すること、損することの両方を理解して話し合えるので、不満を生みにくい分割の実現が可能です。
 

手続きのアドバイスや代行をお願いできる

遺産相続に関する手続きはややこしく、素人では分からないことも多いです。
分からないまま手続きを行えば書類不備として、やり直しを求められる場合もあります。

弁護士は手続きに対する適切なアドバイスが可能なので、スムーズに手続きを進められるでしょう。煩わしい手続きを代わりにやってもらうことも可能です。

特に遺留分の減殺請求や相続破棄の手続はややこしいため、弁護士に頼んだ方が素早く完了できます。
 

まとめ

相続人が遺産分割協議書に従わなくても、正しく協議書が作成されていれば不動産の名義変更といった手続きは可能です。

また、代償金などを支払わない場合は、訴訟を起こして支払わせる手段もとれます。

しかし、知識がないと適切な対処が難しく泣き寝入りになってしまう可能性があるので、遺産分割に関する悩みや相続に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

その他の相続コラム

遺言書は開封しても良いの?

通夜や葬儀のあと、思わぬところから遺言書が発見されるといった話を時々耳にします。みなさんなら、遺言書を発見したときどんな行動をとりますか? うっかり開封してしまうとトラブルの種になることもあるのです。そこで、遺言書を見つけたときどんな対応をすべきなのか、解説します。   遺言書を見つけたら開封してもいい? 結論から言うと、開封すべきではあり...

生活保護受給者は成年後見人になれるのか

成年後見人になれるのは、どのような人なのでしょうか。この記事では、生活保護を受けている人は成年後見人になれるのかなど、成年後見人になれる人の条件について解説します。 生活保護受給者でも成年後見人になれるのか 成年後見人とは、判断能力が低下した本人に代わり、財産の管理や契約の締結などを行う人のことをいいます。 最終的に後見人として認めてもらえるか...

単純承認に該当する具体例とは?単純承認とみなされる例に注意!

相続において注意しなければならないのが「単純承認」とみなされてしまうことです。 単純承認に該当してしまうと、相続放棄をすることができなくなり、回避する予定だった借金などの相続を受けて不利益を被る可能性があります。 では、一体どのようなケースが単純承認になるのでしょうか。   そもそも単純承認とは何か? 相続は、被相続人の権利・義務を全て引...

遺言書でできること

自分が亡くなった後のことを後世に託す手段として、「遺言書」の作成があります。遺言書は、正式なものであれば様々な効力を発生させられます。実は、身分に関することやお金に関することだけでなく、もう少し身近でアバウトなことも遺言書に残せるのです。   遺言書でできる基本的なこと 遺言書は主に、「身分に関すること」「相続に関すること」「財産の使い方に関...

相続・遺産分割に関するお悩みは、
神戸の相続対策に強い弁護士に お気軽にご相談ください。
初回相談無料!お電話にてご連絡ください
078-366-6760までお気軽にお電話ください(受付時間 平日9:00〜17:00) メールでのご相談予約は24時間受付中