秘密証書遺言とは? |生前対策・遺言書作成など相続相談なら神戸の福田法律事務所

神戸の相続に強い 福田法律事務所
相談料0円 078-366-6760までお気軽にお電話ください(受付時間 平日9:00〜17:00) WEBでのご相談は24時間受付中
相続コラム画像

秘密証書遺言とは?

秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)とは、遺言を作る方が、作成時に誰にも内容を知られないようにしたい場合に利用する遺言書形式です。
通常の遺言書とは違い、秘密証書遺言の場合は、相続人に対して内容を秘密にすることはできますが、自分が遺言書を作成した後、その遺言書は秘密証書遺言であるということを公証人と証人に確認してもらうという手間もあり、現在ほとんど使われることのない方法でもあります。
今回は、あえて秘密証書遺言を作成するメリットや、作成方法について解説します。
 

通常の遺言書ではなく秘密証書遺で作成するメリット

秘密証書遺言が通常の遺言書よりも優れている点について解説します。
 

遺言内容を相続人に対して秘密にできる

秘密証書遺言は、相続人はもちろん、担当する公証人も遺言内容までは確認しませんので、誰にも遺言内容を知られたくない場合に非常に有効な方法となります。
 

遺言書の検認が必要ない

通常、遺言書が発見された場合、勝手に開封してはならず、裁判所の「検認」という手続きが必要になりますが、秘密証書遺言は、遺言者本人が記載し封入するので、遺言者本人が記載したかどうかの確認は不要です。
 

遺言内容の偽造・変造の余地がない

秘密証書遺言を残す人が遺言書に封をし、公証人が封紙に署名をすることで完成します。
この封が破られているケースや、開かれた跡が残る秘密証書遺言は法律上の効果が認められません。
そのため、相続人や悪意のある第三者から、遺言書の偽造や変造を受ける可能性はゼロです。
 

秘密証書遺言を作成する方法

遺言内容の決定

まずは、遺言書に書くべき内容を決定します。
相続人の誰にどんな財産を相続してもらうのか、お世話になった方への配分など、希望する内容を記載します。ポイントは、
 

  • 1.日付を特定できる記載をしなければならない
  • 2.署名押印を必ずする
  • 3.遺留分の侵害に気をつける

 
の3点でしょうか。
通常の遺言書とは異なる点として、秘密証書遺言は署名だけを自署していれば、開封の際に誰が書いたものか迷う余地もなくなるかと思います。
そして、遺言者が遺言書を封筒に入れ、誰にも見られることなく封印される流れになります。
 

公証役場へ遺言書をもっていく

遺言書の証人になってもらう人を2名以上用意します。この際
 

  • 1.未成年者
  • 2.遺言者の推定相続人と受遺者(遺贈を受ける人)
  • 3.配偶者と直系親族
  • 4.公証人の配偶者
  • 5.四親等内の親族
  • 6.書記及び雇い人

 
上記の方は証人にはなれません。
そのため、司法書士、弁護士などの専門家へ依頼するのが通常です。
もし、証人が見つからない場合は、公証役場が有料で専門家を紹介してくれるケースもあります。
これは、公正証書遺言の場合と同じです。
 

公証役場での手続きに関して

公証役場にて、公証人と証人の前で封筒の中身は自分の遺言書であること、氏名と住所の告知をすれば、提出日と申述内容を封紙に記載し、遺言者、証人それぞれが署名押印することで、秘密証書遺言の手続きは完了となります。
 

秘密証書遺言作成時の注意点

財産の分配と相続相手はしっかりと記載

相続財産に関しては、全財産の把握をし、どの相続人に何の遺産を相続させるのかを正確に記載する必要があります。
すべての財産の分け方と記載しておくことで、相続とランブルの回避につながります。
 
財産として分けにくい不動産であれば、

  • 1.家を売却し現金化した価額で分配するのか:換価分割
  • 2.不動産の相続は特定の相続人に分け、同価値の財産で分けるのか:代償分割
  • 3.また物理的に分けるのか:現物分割

といった方法があります。
 
さらに、預金口座が1つしかない場合、「預金はAさんが相続する」。
複数の預金口座があった場合、「預金はAさんが相続する」だけでは残りの預金をどうすべきか議論する余地が残ってしまいます。
そのため、預金なら「銀行名」「支店名」「口座の種類」「口座番号」を記載することが望ましいですし、不動産や株式等がある場合、登記簿に記載された内容や株式の銘柄、株数も詳細に記載すべきと言えます。
 

遺言執行者の専任をしておくと良い

遺言執行者とは、遺言内容を実現させるために、様々な手続き代行する人のことです。
実務としては、「財産目録」の作成、各金融機関の解約手続き、「不動産名義変更手続き」といったものがあり、遺言内容を実現させるためであれば、必要な行為の権限を全て持っています。
遺言執行者は必ずしも必須というものではありませんが、遺言内容を滞りなく遂行させるためには、遺言執行者の存在は大きな意味を持ちます。
他の相続人が勝手に財産を処分したりすることができなくなり、相続に関する手続きがスムーズに進みます。
弁護士などの方の専門家を指定することもできます。
メリットとしては、相続手続きに加え万が一のトラブルにも対応できますので、万全の体制をと問えることができるでしょう。
 

まとめ

秘密証書遺言は内容が誰にも知られずに遺言内容の秘密性は守られます。
他方、秘密証書遺言は遺言者1人で作成し、公証人による文面のチェックも無い完全秘密な遺言書ですが、不備があった場合その遺言書は無効になってしまうため、使い所は難しいと言えます。
ただし、似たものに「公正証書遺言」という形式があり、こちらは公証人がチェックしたミスのない遺言書で、かつ相続人には内容を秘密にできるハイブリット型の遺言書がありますので、興味があれば、そちらを検討してみてはいかがでしょうか。

このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

その他の相続コラム

遺言書に記載されている相続人が既に死亡している場合

遺言書を書いたタイミングによっては、本人が亡くなった時点ですでに遺言書に記載された相続人のうちの誰かが死亡しているケースがあります。 そうした場合、相続はどうなってしまうのでしょうか。以下、詳しく見ていくことにしましょう。 亡くなった相続人が第三者である場合 第三者を財産の受取人として指定していた場合、それは正確には相続ではなく「遺贈」というこ...

遺言書と遺書の違い

家族から「遺言書を書いておいてほしい」と言われると抵抗を覚える人は少なくありません。しかし、遺言書を作成しておけば、残された家族は相続手続きをスムーズに進められます。自分の死後に相続財産をめぐるトラブルを未然に防げるメリットもあるのです。 それでもなんとなく「まだ書きたくない」と思うのは、おそらく遺言書ではなく「遺書」を書こうとしているからかもしれません。...

相続放棄と遺留分放棄の違い

はじめに 父が病に倒れもう長くはないことから、父の推定相続人である母と弟、兄である私と3人で相続について少し話をしました。 弟からは「実は父からまとまったお金を贈与されたことがあり、遺留分放棄の手続を済ませてある」と言って、遺留分放棄の許可書類を見せてもらいました。 遺留分の放棄とは何でしょうか。相続の放棄とは何か違うのですか? 遺留分は...

相続放棄できない、単純承認と認められる場合とは?

はじめに 故人の遺産を相続する段階になって初めて借金がある可能性が高いことが発覚した場合などは、「相続放棄」をすることで相続しないことができます。 しかし、ある条件を満たしてしまうと、相続放棄ができず借金や負債も含めて引き継ぐことになってしまうのです。これを「法定単純承認」と呼びます。では、一体どのようなことをすると単純承認になるのでしょうか。 &nb...

相続・遺産分割に関するお悩みは、
神戸の相続対策に強い弁護士に お気軽にご相談ください。
初回相談無料!お電話にてご連絡ください
078-366-6760までお気軽にお電話ください(受付時間 平日9:00〜17:00) メールでのご相談予約は24時間受付中