解決事例
遺留分を考慮しない遺言で、前妻の子と裁判になった事例
遺留分相談者は、夫とは再婚同士で、その夫を数年前に亡くされていました。夫は遺言を残していましたが、その内容は相談者とその子(夫とは養子縁組)に遺産をすべて相続させる内容になっていて、夫の前妻との間の子には何も与えないものになっていました。
そして相続開始から数年後、夫の前妻との間の子より、突然遺留分減殺請求されました。
遺産のうち自宅がほとんどの価値を占め、減殺請求に対して金銭で支払う余裕がなかったため交渉は難航し、相手方から裁判を提起されることになりました。
当事務所に相談に来られたのは、既に相談者が前妻の子から遺留分減殺請求を受けてからでした。
自宅は相談者が相続して住んでいましたが、立派な邸宅だったため遺留分の金額も相当な計算になりました。
裁判の間、相談者は住み慣れた自宅を手放さないといけないとかなり不安になっていましたが、親族の協力もあり、自宅をそのまま相談者が住み続ける内容でなんとか和解にこぎつけました。
その代わりに、多額の金銭的支出を余儀なくされました。
その他の解決事例
相続紛争経験を参考に、事前に生前対策と遺言作成した事例
遺留分相談者の父親は資産家で、その父親が数年前、突然亡くなったため親族間に相続紛争が発生しました。
相談者自身は父親の遺産について何も執着はありませんでしたが、身内の間の綱引きに巻き込まれ、感情的な言葉を浴びせられ、かなり嫌な思いをして精神的に消耗していました。
数年かけて父親の相続はようやく結論が出ましたが、相談者は将来予想される自身の相続についても、同じように紛争になるのではないか心配になりました。
相談者の推定相続人同士の関係性が複雑なうえ、父親の相続紛争でさらに感情的な溝が深まってしまったからです。
同じような紛争を再度生じさせたくないとの強い気持ちで、紛争を避ける遺言の作成を希望されました。
遺言で世話になった介護施設に寄付したケース
遺留分相談をお聞きしたのは入院中の病院で、相談者は既に末期のがんで余命宣告されていました。
配偶者も子供もおらず、ご兄弟が何人かいらっしゃいましたが、兄弟には相続させたくないとのご希望でした。
入院前にお世話になった介護事業所がとても献身的にサポートしてくれたので、遺産はすべてその事業所に受け取ってもらえるように遺言を作成したいとのご相談でした。
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相談者は、遺留分減殺請求の期限が死後1年だとどこかで聞いていたようですが、正確には相続の開始及び減殺すべき(遺留分を侵害する)贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間です。
相談者は前妻との間の子と長らく没交渉で、夫が亡くなったことを知らせなかったために、相続開始から数年後に遺留分減殺請求を受けてしまいました。
遺言者である夫が遺言作成前に弁護士に相談し、遺留分とその請求期限について理解していれば、遺言の内容ももっと違ったものになったでしょうし、生前対策もある程度できたのではないでしょうか。そうすれば、おそらくこのような裁判は必要なかっただろうと思われます。