事業承継で相続対策
次の世代に大切な事業をきちんと継承していくためには、相続対策を含む事前の準備が重要です。
目次
スムーズな事業承継のために考えておくべきこととは
スムーズに事業承継を行うためには、主に次の2つが重要なポイントになってきます。
後継者の問題
まず、重要な問題となるのが「後継者を誰にするのか」ということです。
事業承継には大きく分けて、3つのタイプに分類できます。
・親族内承継
自分の子供など親族を後継者にして、承継させる方法です。
・従業員承継
社内の役員や従業員を後継者に選び、承継させる方法です。
・社外への承継
M&Aや株式譲渡といった手法により、他の企業に経営を引き継いでもらう方法です。
長らく日本では親族内承継が主流でしたが、最近では社会情勢の変化により、M&Aなどを駆使して社外の人間に事業を引き継いでもらうケースも増えています。
いずれのパターンにせよ、社内での根回しなど綿密な準備が必要となります。
会社の株式・資産の問題
次に問題になってくるのが、「会社の株式や資産をどう引き継ぐか」ということです。
例えば、次に経営権を持つ人に株式を集中させておかないと、会社の経営権が不安定となり、会社の基盤が揺らいでしまうおそれがあります。
また、会社の資産が分散するなどして、会社の財政状態が悪化するリスクにも対処しなければなりません。
事業承継では相続対策も重要に
株式や会社資産の引き継ぎにあたっては、相続対策が必要になります。
何も対策をしないと、高額の相続税・贈与税を課されたり、会社の株式が分散してしまったりするリスクもあるからです。
ここでは、事業承継における相続対策について解説します。
相続税・贈与税対策について
非上場企業については、事業承継税制が適用される可能性があります。
これは、事業承継に伴い、60歳以上の経営者が後継者に株式を譲渡・相続させた場合に、相続税・贈与税の納付を猶予するものです。
これにより、株式の譲渡に伴う税負担を軽減し、後継者に株式を集中させることが可能になります。
推定相続人がいる場合の対策について
後継者となった特定の相続人に財産を集中させる場合や従業員に承継させる場合などでは、遺産を巡って相続トラブルに発展する可能性があります。
こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、あらかじめ家族に根回しをする、遺言書を書いておく、生前贈与する、といった対策が必要です。
事業承継の相談は弁護士に
もし現在事業承継を考えているのであれば、弁護士に一度アドバイスをもらうことをおすすめします。
事業承継では、税金対策や遺産トラブルなど、解決するためには法的知識が求められる問題が多々発生します。
また、M&Aなどで社外への事業承継を考える際にも、法律問題への対処は欠かせません。
事業承継をお考えの際は、ぜひ法律のプロである弁護士にご相談ください。
このコラムの監修者
-
福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。
その他の相続コラム
複数の遺言書が見つかった場合
遺言書の作成故人が何度も遺言書を書き直した結果、複数の遺言書が残されるケースがあります。その場合、遺族としてはどう対処するべきなのでしょうか。この記事では、複数の遺言書が見つかったときの処理について解説します。 日付を確認する 複数の有効な遺言書がある場合、もっとも日付の新しいものが「有効」な遺言書として扱われます。 したがって、複数の遺言書を見つけたら、...
詳しく見る成年後見
生前対策後見制度は、今後の高齢化社会を見越して平成12年に導入された比較的新しい制度です。ご本人の状態によって、成年後見・保佐、補助の3種類があります。 高齢または障害によってご本人様の判断能力が弱った場合、ご本人様にとって何が最も適切かを考え、意思決定を支援するのが成年後見人(または保佐人・補助人)の役割です。 具体的には、施設入所を含めた介護サービスの選...
詳しく見る