遺留分は養子にも認められるのか? |福田法律事務所

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遺留分は養子にも認められるのか?

相続の場面で養子縁組が関わることで、遺留分相続人の範囲・割合がどのように変わるのか分からず、不安や悩みを抱える人が多くおられます。たとえば、養子に遺留分はあるのか、養子縁組をすると遺留分は減少するのか、子供が複数いる場合や孫養子前妻との子がいる場合の取り扱いなど、疑問は多岐にわたります。

相続は、被相続人(亡くなった人)の意思を尊重しつつも、民法に基づいて一定の権利が相続人に保障される制度です。その代表が遺留分であり、遺言や生前の処分があっても、相続人の最低限の取り分として認められています(民法第1042条第1項)。

本記事では、遺留分と養子縁組の関係を中心に、制度の基本から実務上の注意点までを体系的に解説します。この記事を読むことで、遺留分の計算方法やトラブル発生時に間違いのない対応をすることができるようになります。

 

養子に遺留分はある?民法上の基本ルール

結論から申し上げると、養子にも遺留分はあります。養子縁組が有効に成立した場合、養子は養親のとなり、実子と同じ法定相続人として扱われます(民法第727条)。したがって、養子は遺留分を含む相続上の権利を有します。

遺留分は、配偶者、子、直系尊属に認められる制度であり、兄弟姉妹には認められていません(民法第1042条第1項)。

 

養子縁組をすると遺留分は減少するか?

養子縁組をしたからといって、遺留分そのものの割合が直ちに減少するわけではありません。相続人が配偶者または子のみで構成される場合、遺留分の総額は、被相続人が残した相続財産全体の2分の1と法律で明確に定められています(民法第1042条第1項第1号)。この点は、養子がいるかどうかにかかわらず共通する重要なルールです。

ただし注意すべきなのは、養子縁組によって相続人の数が増えるという点です。相続人の人数が増えれば、遺留分の総額自体は変わらなくても、その内訳として1人あたりに割り当てられる遺留分の割合や金額は相対的に小さくなります。そのため、「養子縁組をすると遺留分が減った」と感じられる場合がありますが、これは遺留分制度が変更されたのではなく、分配対象となる相続人が増えた結果にすぎません。実務上は、この点を正しく理解しておかないと、相続人間で誤解や不公平感が生じ、トラブルに発展する可能性があります。

 

子供が3人・養子が複数いる場合の遺留分割合

子供が3人以上いる場合や、実子と養子が混在している場合でも、原則として実子と養子の区別なく、それぞれが同じ立場のとして扱われます。そのため、法定相続分は子の人数で均等に分けられることになります(民法第900条第4号)。

遺留分についても、この法定相続分を基準として計算されるため、子供の人数が増えれば増えるほど、1人あたりの遺留分の割合や金額は小さくなる点が重要です。たとえば、子供が1人の場合と3人の場合とでは、遺留分の総額は同じであっても、各自が実際に請求できる金額には大きな差が生じます。この違いを理解せずに相続を進めると、「思っていたよりも少ない」と感じて紛争の原因になることがあります。

とくに養子が複数いるケースでは、養子縁組の事実を他の相続人が十分に把握していなかった場合、遺留分の計算結果に強い不満を抱くことも少なくありません。そのため、被相続人の生前から相続人の構成や遺留分の考え方を整理しておくことが、トラブル防止の観点から重要になります。

 

孫養子・前妻との子がいる場合の遺留分

孫養子とは、本来であれば法定相続人とはならない孫を、養子縁組によって法律上の子とするケースを指します。孫養子であっても、養子縁組が有効に成立していれば、法律上は養親の子と同一に扱われ、遺留分を取得する権利があります(民法第727条)。

また、被相続人に前妻との子がいる場合、その子は実子として法定相続人となり、再婚後の配偶者やその子、養子と同じ地位で遺留分を有します。このように、前妻との子、後妻との子、養子、孫養子が混在するケースでは、相続関係が非常に複雑になりがちです。

このような状況では、相続人同士の感情的な対立が生じやすく、遺産分割協議が難航する傾向があります。遺留分の正確な理解と、必要に応じた専門家への相談が、紛争を防ぐうえで重要なポイントとなります。

 

遺言がある場合・ない場合で遺留分はどう変わる?

遺言書がある場合であっても、遺留分を侵害する内容そのものが直ちに無効になるわけではありません。遺言の効力自体は有効とされつつも、その結果として遺留分を下回る取り分しか得られなかった相続人がいる場合には、侵害された側が遺留分侵害額請求を行うことで、金銭的な調整が図られる仕組みになっています(民法第1046条第1項)。

一方、遺言書が存在しない場合には、相続人全員で遺産の分け方を決める遺産分割協議が行われます。この協議では、法定相続分を前提に話し合いが進められるのが通常ですが、必ずしも法定相続分どおりに分けなければならないわけではありません。ただし、協議の結果として特定の相続人が著しく少ない取り分となった場合には、後から遺留分をめぐる問題が生じる可能性があります。

このように、遺言が「ある場合」と「ない場合」とでは手続きの流れや調整方法が異なりますが、いずれの場合でも遺留分という最低限の保障が存在する点は共通しています。そのため、被相続人としては、生前の段階で遺言内容が遺留分を侵害しないかを検討し、必要に応じて専門家の助言を受けながら内容を整えることが重要になります。

 

養子縁組による遺留分トラブルが多い理由

養子縁組が絡む相続では、実子と養子の立場の違いに対する誤解や感情的な反発が生じやすく、結果として遺留分をめぐるトラブルが発生しやすい傾向があります。とくに、養子縁組の経緯や被相続人の真意について十分な説明がなされていない場合、相続開始後に強い不満や疑念が噴出することも少なくありません。

また、「なぜ養子が同じ割合で相続するのか」「遺言があるのに請求できるのはおかしいのではないか」といった誤った理解が、当事者間の対立を深める原因になることもあります。このような事態を防ぐためには、被相続人が生前のうちから養子縁組の理由や遺産の分け方について丁寧に説明し、必要に応じて遺言書を作成しておくことが重要です。

 

遺留分侵害とは?養子が請求できる範囲

遺留分侵害とは、被相続人が遺言生前贈与などによって財産の処分を行った結果、法定相続人が本来保障されている遺留分を下回る取得しかできなかった状態を指します。これは、相続開始後に初めて明らかになることも多く、当事者にとって大きな驚きや不満の原因となりがちです。

このような場合、侵害された相続人は、遺留分を侵害した者に対して金銭の支払いを求める請求を行うことができます。これがいわゆる遺留分侵害額請求であり、現物の返還ではなく、原則として金銭での調整が行われる点が特徴です(民法第1046条第1項)。養子であっても、法定相続人である以上、この請求を行う権利があることに注意が必要です。

もっとも、この請求権は無期限に行使できるものではありません。相続開始および遺留分侵害の事実を知った時から1を経過すると、時効により消滅してしまいます(民法第1048条)。そのため、遺留分侵害の可能性に気付いた場合には、できるだけ早い段階で状況を整理し、専門家に相談することが重要になります。

 

養子に相続させない方法はあるか

「養子にできるだけ相続させたくない」「特定の相続人に多く財産を残したい」と考える被相続人は少なくありません。しかし、養子縁組が有効に成立している限り、養子は法律上の子として扱われるため、完全に相続から排除することは原則としてできません。

たとえば、遺言によって養子以外の相続人にすべての財産を相続させる内容を定めること自体は可能です。ただし、その結果として養子の遺留分が侵害されている場合には、養子から遺留分侵害額請求がなされる可能性があります。この点を理解せずに遺言を作成すると、かえって相続開始後の紛争を招くおそれがあります。

そのため実務上は、生命保険の活用生前贈与など、遺留分算定の基礎に含まれにくい手段を組み合わせながら、全体としてバランスの取れた相続対策を検討することが現実的です。ただし、生前贈与についても一定期間内のものは遺留分算定の対象となる場合があるため、安易な対策は避け、事前に十分な検討を行う必要があります。

 

養子縁組が無効・取消しと判断されるケース

遺留分対策のみを目的として行われた養子縁組であっても、それだけを理由に直ちに無効と判断されるわけではありません。実務や判例においては、養子縁組の有効性は形式的な届出の有無だけでなく、当事者間に実質的な親子関係が存在するかどうかという点が重視されます。

具体的には、養親と養子の間で同居や生活上の扶養関係があったか、養親としての監護・養育の意思が認められるか、周囲から親子として認識されていたかといった事情が、総合的に考慮されます。これらの事情が乏しく、遺留分を減らす目的だけが前面に出ている場合には、養子縁組の無効取消しが問題となる可能性があります(判例)。

そのため、遺留分対策として養子縁組を検討する場合には、形式的に届出を行うだけで足りると考えるのではなく、実際に親子としての関係性が伴っているかどうかを慎重に検討する必要があります。安易な養子縁組は、相続開始後に他の相続人から強く争われ、結果として紛争が長期化するリスクがある点に注意が必要です。

遺留分を減らすために検討すべき生前対策

遺留分を減らすための生前対策としては、生前贈与生命保険の活用が代表的な方法として挙げられます。これらは、相続発生時点での財産構成を調整することにより、結果として遺留分の影響を緩和する効果が期待できます。

もっとも、生前贈与については、贈与の時期や内容によっては遺留分算定の基礎に含まれることがあり、必ずしも万能な方法とはいえません。また、生命保険についても、受取人や保険金額の設定次第では、他の相続人との公平を欠くとして問題視される場合があります。

そのため、遺留分対策は一つの方法に依存するのではなく、遺言の作成や財産内容の整理を含めた総合的な生前対策として検討することが重要です。

 

遺留分トラブルを防ぐための相談先と流れ

遺留分や養子縁組が関係する相続では、早期に相続に関する理論と実務に精通した弁護士(弁護士法人/法律事務所)に相談することが重要です。調停や訴訟に進む前の段階で対応することで、解決までの時間や費用を抑えられる可能性があります。

 

遺留分と養子縁組をめぐる実務上の注意点

本記事は一般的な情報提供を目的とした法律コラムです。相続や遺留分、養子縁組に関する具体的な取扱いは、各家庭の事情によって異なるため、一律の結論が出るものではありません。実際の遺産相続では、相続財産の内容、相続税、基礎控除、生命保険の有無などを含めて総合的な検討が必要です。

遺留分侵害が発生した場合には、家庭裁判所での調停や裁判に発展することもあります。早い段階で専門家に相談し、適切な対応を取ることが重要です。

このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

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