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遺産分割協議後に遺言書が見つかったら?協議は無効?

相続のあり方を決める遺言書。この遺言書が、遺産分割協議が成立して遺産分割まで完了した後に見つかったとしたら…。

実は、遺言書があとから見つかるというケースは、ままみられます。今回は遺産分割が終わってから遺言書が出てきた場合について解説します。

 

もし遺産分割後に遺言が出てきたら?

被相続人が遺言を作成していたとしても、相続人がそれを認識するとは限りません。

自筆で作成された遺言はどこかに紛れることもありますし、公正証書で遺言を作成していても、公証役場はわざわざそのことを知らせてくれないからです。

相続人が遺言書の存在を全く知らずに遺産分割協議を行い、遺産分割が完了した後で遺言書が発見された場合、遺産分割の効力はどうなるのでしょうか。

 

相続人全員の同意がなければ遺産分割協議は無効

遺言は、法定相続に優先します(民法902条、907条)。したがって、遺言の存在が明らかになれば、それまでの遺産分割協議は無効となるのが原則です。

ただし、相続人全員が遺産分割協議の結果にしたがった分割結果を承認(合意)すれば、既になされた遺産分割の結果を有効にすることができ、遺産分割協議をやり直す必要はありません。

 

相続人全員が合意しても遺産分割協議が無効になる場合

見された遺言の内容によっては、相続人全員が遺言と異なる従前の遺産分割協議の結果を承認しても、遺産分割協議をやり直さなければならない場合があります。

 

(1)相続人の範囲が変わるケース

遺産分割協議は、相続人全員によってなされなければ有効となりません。

ですので、遺言の有無によって相続人の範囲が変わる場合は、従前の遺産分割協議は正しい当事者によって協議されたことになりませんので、遺産分割協議をやり直す必要があります。

  • ・遺言で認知がされた場合
  • ・遺言で相続人が廃除された場合
  • ・遺言で第三者が包括遺贈を受けた場合

などは、相続人の範囲が変わります。

なお、相続人の廃除とは、故人が遺産を相続させたくない人間を指定し、相続人から外すことです。

また、遺言書の発見が遅れたのが、相続人が遺言書を隠匿したからであれば、隠匿した相続人は相続欠格に該当しますので、やはり従前の遺産分割協議はやり直す必要があります。

 

(2)遺産分割の対象が変わるケース

遺言によって、遺産分割の対象が変わるケースがあります。

遺言の中に特定の財産を遺贈する、あるいは特定の財産を「相続させる」内容があると、当該財産は被相続人の死亡によって直ちに受遺者(遺贈を受ける人)に帰属するとするのが判例です。

したがって、当該財産は遺産分割協議の対象から外れることになり、従前の遺産分割協議は遺産分割の対象を誤っていたことになりますから、やはり遺産分割協議をやり直すことになります。

※そもそも受贈者が相続人以外の第三者であれば、受遺者の同意がなければ、相続人全員の合意だけで従前の遺産分割協議を有効とすることはできません。

 

遺産分割協議と再分配は弁護士の力が不可欠

このように、遺産分割協議後に遺言が発見され、再協議が必要なケースでは、実際の処理が難航することがほとんどです。

もともと面倒な遺産分割が、さらに複雑になるのが再協議・再分割だと考えてください。

こういうときこそ、相続に強い弁護士の出番といえるでしょう。何かとトラブルに発展しがちな遺産相続のやり直しは、公正な視点と高度な専門知識をもった弁護士の腕の見せ所です。

このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

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