
解決事例
親族でない第三者が特別縁故者として全財産の分与を受けた事例
【解決事例】相談者は人柄がよく、世話好きで誰にでも親切な方でした。
相談があったのは、この方のご友人が亡くなった後、相談者に財産を残す旨の遺言が出てきたからでした。
相談者は、亡くなった方とは血縁関係にないにもかかわらず、友人として長年支えて上げてきました。入院に付き添ったり、仕事の世話をしたり、借金の返済を立替えたり・・・
亡くなった方は身寄りがなく、日ごろから相談者に対して大変感謝していたため、「私が死んだら私の財産は相談者に任せます」という自筆遺言を残して亡くなりました。
ご本人はおそらく相談者に全部遺贈するつもりだったと思いますが、この「任せます」という文言では相談者に対する遺贈かどうかがはっきりしません。
この先どのようにすべきか判断できない、ということでご依頼がありました。
相談後まずは相続人を調査しましたが、生前にご本人が身寄りがないと言っていたとおり、相続人がいませんでした。
自宅不動産にローンがついていましたので、ローン債権者が相続財産管理人の選任を申し立てました。
そして相続財産管理人が選任されましたが、相続財産管理人も、この遺言を遺贈と言い切って相談者に全部渡す判断は難しかったようでした。
そこで、方針を二本立てで考え、まずは生前に相談者が何かと亡くなった方のために支出してきた実費を、立替金として回収できるように相続財産管理人に依頼しました。
そのうえで、相談者が特別縁故者への分与を申し立てをし、相談者に財産を受取ってもらうことが亡くなったご本人の意思であることを強調するとともに、生前に相談者がご本人のためにした貢献を過去に遡って丁寧に聞き取り、報告書にまとめ相続財産管理人に提出しました。
結果、時間はかかりましたが、残された財産(不動産は売却してローンを返済しても残余が残りました)は経費を引いたほぼすべて相談者への分与することを認める決定を得ることができました。
その他の解決事例
元夫の親族の特別縁故者として財産分与を受けた例
【解決事例】相談者は、朴訥でとても人のよい方です。
被相続人は、元夫の親族で、身寄りのない方でした。
相談者は、被相続人から苗字を継いで墓を守るために養子になってくれと頼まれ、改名しました。
その後、子どもの事情があって養子縁組は解消したのですが、その後も相談者は子どもの面倒を見てもらう代わりに、何かと被相続人の身の回りの世話を焼き、長年交流を続けてきました。
相談者は、被相続人が亡くなったとき預金通帳を預かっていましたが、相続人がいなかったため、この通帳をどうしたらいいか分からないとご相談に来られました。
詳しく見る >大量の田畑・山林が遺産で残されていた事例
【解決事例】相談者は神戸在住ですが、被相続人(父親)は車で数時間かかる遠方の大地主で、田畑や山林を合計50箇所以上所有したまま亡くなりました。
相続人は相談者とその兄の2名で、兄は父の近隣に住んでいましたが田畑や山林を相続する気がないため、どちらがその不動産を引き取るかで、遺産分割の協議が進みませんでした。
兄に代理人弁護士がついて遺産分割調停が申し立てられたため、相談に来られました。
詳しく見る >遺産を求めないという生前の合意を調停で覆した事例
【解決事例】相談者のご実家は、先祖代々から神戸の郊外に大きな土地を持つ農家でした。
高度成長期に開発が進み、周囲が次々に宅地や工業団地として開発されてきた結果、両親の代には既に農家を辞め不動産賃貸業が家業になっていました。この先祖伝来の土地は、金額にすると数億円の相当な評価額になっていました。
そのため、ご両親は早くから相続対策や遺留分対策を意識されていたようです。
相談者には兄がいましたが、兄の妻とも養子縁組をし、さらに高額の一時払い終身生命保険にも加入し、できるだけ相続時の現預金を減らそうとしていました。
それだけならまだよかったのですが、ご両親は相談者が結婚して自宅を建てるとき、その建築資金を出す条件として、将来両親の相続では何も貰いません、という念書を相談者に書かせていました。
ご両親は、長男が実家の財産をすべて引き継ぐべきという、昔の価値観が強い方だったのかもしれません。
相談者は若くして結婚したため、当時は世間のこともよく分かず念書にサインしましたが、いざご両親が亡くなり相続が発生したときも、兄は念書どおり弟である相談者に一切財産を渡そうとしなかったため、さすがにこれは不当ではないかと思い当事務所に相談に来られました。
詳しく見る >遺留分減殺請求をし、交渉により金銭の分与を受けることができた事例
【解決事例】相談者は長男で、ビル1棟を所有していた父親が亡くなり、相続が発生しました。長男と不仲だった父親は、次男にすべてを相続させる遺言書を作成しており、兄弟は父親が亡くなって初めてその遺言内容を知りました。
同じく父親の遺言により相続ができなかった長女は諦めていましたが、納得いかない長男は、こんな不公平な遺言を覆すことはできないかと当事務所に相談に来られました。
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血縁関係にない方が特別縁故者として財産の分与を受ける場合、残余財産全部の分与を受けられるケースは珍しく、たいていは財産の一部の分与にとどまります。
相談者が特別縁故者として財産全部の分与を受けることができたのは、もちろん亡くなった方の遺言の影響が大きいですが、それを裏付けるような無償の貢献を相談者が長年続けてこられたからだと思います。
他人への親切な行為が最後に報われた形で終えることができ、相談者はもちろん、担当した弁護士にとっても非常に嬉しい結果になりました。