解決事例
遺言無効確認訴訟を提起し勝訴した事例
【解決事例】相談者は2人兄弟の兄で、父親の死後に初めて弟から自筆で書かれた父の自筆遺言の存在を知らされました。
遺言は数年前に書かれたものでしたが、書かれた当時父親の認知症が進んでおり、弟が遺言書作成時父親の家に頻繁に出入りしていたことから、弟の影響により作成されたことがうかがわれました。
相談者は、遺言で相続することに決められた財産の中身よりも、父親が生前に常々話していた意思が全く反映されていない遺言内容であったことに不信感を抱きました。
相続について弟と話し合う以前に遺言そのものの無効を認めさせ、父親の意思を尊重しなければならないと考え、遺言無効確認訴訟を提訴することになりました。
相談後遺言が作成された日付は、すでに父親の認知症がかなり進んでいる時期でした。
しかし、遺言の内容は、かなり下準備しないと書けないと思われるほど、整理された内容でした。
また、遺言の文書の中に、当時弟でなければ知り得なかった内容が反映されていたため、認知症の父親がそれを把握したうえで遺言を作成したとは考えられませんでした。
当事者尋問で、弟に対してそのことを追及すると、自分が下書きを作成し、父親にこのとおりに自筆で遺言を書くよう指示したことを認めました。
約1年半の審理を経た一審判決では遺言の無効が認められ、弟側は控訴しましたが、控訴審でも一審判決が維持され、遺言の無効が確定することになりました。
その他の解決事例
長年未分割だった土地を交渉で売却に持ち込んだ例
【解決事例】相談者の父親は、数十年以上前に亡くなっていました。
父親は、土地を遺産として残していましたが、相談者の兄が遺産である空き地に建物を建て、長年そこで商売してきました。
相談者は、遺産分割で土地を売却するよう兄に求め続けましたが、商売を理由にずっと拒否され続けてきました。
遺産である土地は交通至便なところで住宅地としても人気があり、売却すれば相当な金額が見込まれましたが、兄が拒否し続けるため、相談者は事実上遺産を受け取れない状態が長く続いていました。
なんとかこれを解決できないかと、当事務所に相談に来られました。
詳しく見る >相手の寄与分の主張が審判で却下された事例
【解決事例】相談者は、兄妹の二人兄弟の兄でした。
ご両親が相次いで亡くなった後半年ほどは、神戸市内のマンションは手つかずのまま残され、これといって遺産分割の話し合いはありませんでした。
というのは、かなり昔から兄と妹とで性格が合わず、お互いにあまり関わりを持たずに十年以上過ごしてきたからです。
とはいえ、両親のマンションをこのまま放置するわけにもいかず、相談者は行政書士に遺産目録作成を依頼し、妹に対して遺産分割を呼びかけました。
しかし、妹はそれに対して全く返答することなく、困った相談者は当事務所に相談されました。
詳しく見る >兄を信用し遺産分割協議書に押印してしまってからの逆転ケース
【解決事例】相談者の父親が亡くなり、相続人は兄と妹(相談者)の2名でした。
兄は父親と長年同居しており、両親の面倒を見てきた反面、長男としての意識が強く、他家に嫁いだ相談者に対してあまり家の事情を説明していなかったようです。
それでも兄妹の仲は悪くなく、相続問題が生じるとは全く考えていなかったようです。
父親が亡くなったあと、兄が相談者にまとまった現金を渡す内容の遺産分割協議書を持ってきたので、兄を信用していた相談者は何も聞かずに押印しました。
ところがその後、相続税に関する税務署からのお知らせが相談者のところに届き、兄から聞いていた以上に父親の財産が多額であったこと、相談者から受け取った現金のみでは、遺産分割の内容としては極端に不公平であったことが判明し、トラブルになりました。
詳しく見る >オープンに遺産分割を進めて早期に終了した事例
【解決事例】相談者の兄は独身で、多額の財産を残して亡くなりました。
他の兄弟の中には亡くなっている方もあり、その子供数名が代襲相続人になり、相続人が合計で5人の遺産分割のケースでした。ただし、日本全国に居住地が散らばっていることもあり、相続人間にはあまり交流はありませんでした。
相談者ご自身も高齢で、ご自身で各相続人に連絡を取り、一人ひとり説明して遺産分割の了解を得るのは不可能でした。
また、相続財産も多岐にわたり、不動産の処分も必要になるので、なかなかご自分で遺産分割を進めるのは厳しいケースでした。
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遺言無効確認訴訟は、遺言作成者が遺言作成当時どのような状況にあったかが争点になりますが、これに関して事後的に立証できるような十分な証拠をそろえることが困難なケースが少なくありません。
このケースでは、依頼者が遺言者が亡くなる数年前からの資料を保存していたため、それが勝訴につながりました。
遺言無効確認訴訟で無効が確認されても、遺言がない相続になるだけで、そのあと相続人間であらためて遺産分割協議をしなければ相続は終わりません。実務ではそれを見越して、遺言無効訴訟の和解手続の中で実質的な遺産分割協議をしてしまうことも少なくありません。
しかし相談者は、亡くなった父親の意思を尊重することを重視して、あくまで歪められた遺言の無効確認にこだわり、それを勝ち取りました。