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生命保険は相続財産に含まれる?

夫、あるいは妻や親が亡くなった際、相続人に当たる人たちは相続の手続きを行います。
故人が所有していた財産を相続するという場面では、生命保険をどのように扱うかでトラブルになる事例は多いです。
 
相続での不満や後悔、争いを避けるためにも、生命保険が相続財産に含まれるのか、税金対策はどうすべきかを確認しておきましょう。

所有していた財産の全てが相続財産

相続財産いわゆる遺産は、故人が所有していた財産の全てです。
遺産の相続では、相続人が名義変更などの各種手続きを行うことになるので、何が相続財産になるのかは前もって理解しておきましょう。
 
相続手続きには申告や税金の支払いなどに期間が定められているものも多いです。
原則として所有していた財産の全て、具体的には預貯金や現金、不動産や証券、貴金属や車などが相続財産となります。

生命保険は相続財産に含まれない

相続財産に生命保険は含まれません。
実際の相続では、預貯金や現金、不動産などの相続財産はほぼないものの、生命保険で多額の死亡保険金が支払われるというケースは多いです。
 
例えば、預貯金や現金が100万円、死亡保険金が2,000万円の場合、相続人たちが遺産分割できる金額は相続財産である100万円だけとなります。
 
死亡保険金の2,000万円は保険の受取人に指定されていた人が受け取ります。

モデルケースで考える生命保険と遺産分割

生命保険と遺産分割についてモデルケースで考えてみましょう。
母親が亡くなった後に父親が亡くなり、姉と弟の二人が遺産を受け取るケースです。
 
父親の預貯金など相続財産が100万円、姉が受取人である死亡保険金が2,000万円と仮定します。
 
この場合、姉は死亡保険金の2,000万円を受け取った上で、相続財産の100万円を弟と分けると主張できます。
 
つまり、姉は2,050万円なのに弟は50万円しか受け取れず、不公平が生じると言えるでしょう。

生命保険は誰のものになるか

生命保険が受取人のものになるという原則は変わらないものの、例外はいくつかあります。

・受取人が指定されていないケース

故人が受取人を指定していなかった場合、あるいは具体的な受取人を定めずに「相続人」を受取人にしていた場合などは例外的な取り扱いになります。
上記のケースでは、法定相続分の割合での分配が基本です。

妻、子ども2人が健在で夫(父)が亡くなった場合で、受取人が指定されていない、もしくは「相続人」が受取人だったなら、死亡保険金の半分が妻、残りの半分を子どもたちが均等に分けることになります。

もし、死亡保険の受取人が先に亡くなっていて、受取人の変更をしていなかった場合は、保険会社の規定で受取人が決まります。

規定がない場合には、受取人の相続人に当たる人に死亡保険を受け取る権利が発生します。
ただし、この場合の受け取る割合は法定相続分の割合ではなく均等に分配する点がポイントです。
 
例えば、法定相続分の場合は夫が亡くなった場合の相続人が妻と夫の兄弟2人なら妻が3/4、残りの1/4を夫の兄弟が分割するものの、均等に1/3ずつ分けるという扱いとなります。

・不公平に配慮するケース

モデルケースのように著しく不公平が発生する場合には特別受益での配慮が行われることがあります。死亡保険金2,000万円を受け取った姉が、100万円の預貯金の半分を受け取るならば、弟との不公平は絶大です。

そのため、最高裁判所は不公平に配慮しモデルケースのような事例では相続財産から受け取る金額の調整を認める判決を出しています。
 
死亡保険金を特別受益、モデルケースで言うと父親から姉に保険金相当額の贈与があったとみなして、実際に相続する部分についての修正をするということです。
 
最高裁の判決では、不公平に配慮するための例外を認めるかどうかの判断基準として、保険金の額や保険金と相続財産の比率、同居の有無や介護への貢献度、死亡保険金の受取人と他の相続人そして故人との関係などを挙げています。

・実務上はどうなっているか

モデルケースでは相続財産100万円のうちの半分、50万円が本来の相続で姉が受け取る金額とみなされます。死亡保険の2,000万円は本来の相続で受け取る額と比較して多額と言えます。

つまり、本来の相続以上の金額を既に姉は受け取っているとみなし、預貯金100万円は弟が全額を取得することになる仕組みです。
 
実務上では、死亡保険金が特別受益になるかどうかの判断を、相続財産の額に占める死亡保険金の割合が60%を超えるかどうかでみることが一般的です。

生命保険と税金問題

相続の際には様々な税金の支払いが発生します。
生命保険の死亡保険金の受け取りに際しても、当然ながら税金がかかってくるので、あらかじめ確認しておきましょう。
 
遺族が受けとる死亡保険金にかかる税金についは、契約者と保険の受取人の関係により税の種類が変わります。

・相続税がかかるケース

自分自身が亡くなった場合に家族の生活を守るため、夫が自分に保険をかけていた場合、死亡保険金は相続税の対象です。契約者・被保険者が夫で、保険金の受取人が妻というケースなどが該当します。

残された遺族の生活保障のために支払われる死亡保険金という役割から、受取人が法定相続人なら税の負担が少ない相続税が適用される仕組みです。

・所得税がかかるケース

夫が妻に保険をかけていて妻が亡くなった場合、夫が受け取る死亡保険金は所得税の対象となります。保険料を支払っている夫がお金を受け取っているので所得税がかかり、支払い済みの保険料と保険金との差額部分が課税対象です。

・贈与税がかかるケース

夫が妻に保険をかけていて妻が亡くなり、保険の受取人が子どもだった場合の死亡保険金は贈与税の対象となります。

保険金を支払っている夫から子どもに贈与が発生したと考えるためです。このように、生命保険の契約形態によって税の種類は異なり、税の種類によって課税額や課税対象額が変わってきます。
 
基本的に、相続税は税負担が少なく、贈与税は税負担が大きいので生命保険も含めた相続対策をしたい場合は法律のプロに相談しましょう。

まとめ

遺産相続では生命保険の死亡保険金の額が相続財産より多いというケースは少なくありません。死亡保険金の受取りで発生する税負担についても、知らなかったばかりに損してしまう人も多いです。
 
まずは、生命保険と相続についての正しい知識を持っておきましょう。
そして万が一、遺産分割交渉において生命保険の扱いで不公平が生じている場合は、交渉の余地があるか、いくら取得できるかを遺産分割交渉に詳しい法律の専門家に相談することをおすすめします。

このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

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