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遺留分減殺請求権とは?(2)請求の方法と流れ

相続において、最低保証額のような性質を持つ「遺留分」。この遺留分は「遺留分減殺請求権」に基づいて請求が可能です。(1)では、遺留分を請求できる場合や、人について解説しました。今回は引き続き、請求の方法と流れについてみていきましょう。

遺留分請求の基本的なルール

遺留分の請求では、相続や贈与によって自分の遺留分を侵害している相手に対し、不足分の相続財産を請求できます。ただし、以下3つの期限のうち、いずれかに該当していることが必須です。

・相続開始(=被相続人が亡くなったこと)を知ったときから1年以内
・生前贈与や遺言書で遺留分の侵害があったことを知ったときから1年以内
・相続開始から10年以内

これは民法第1042条に記されています。

“第1042条 (減殺請求権の期間の制限)
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。”

このように遺留分減殺請求は、いつでも可能なわけではありません。まずは期限内であることを確認し、できるだけ早めに対応することが大切です。次は、具体的な請求方法について解説します。

遺留分減殺請求の方法と流れは?

遺留分減殺請求の方法としては、以下2つがあります。

・相手方(遺留分を侵害している相手)に連絡を取り、直接交渉する。
・裁判所を介して調停や裁判を行う。

それぞれ順を追って見ていきましょう。

相手方(遺留分を侵害している相手)に連絡を取り、直接交渉する場合

1.相続財産の調査と確定
相続の対象となる財産がどこに、どのくらい、どういった形で存在するのかを調査し、相続財産を確定します。これは「遺留分の基礎となる財産」と考えてください。具体的には、相続開始時の財産(遺産)に、生前贈与を行った財産を加え、そこから債務を差し引いて計算します。これは民法第1029条に規定があります。

“第1029条 (遺留分の算定)
遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。
条件付きの権利又は存続期間の不確定な権利は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って、その価格を定める。”

2.遺留分の計算
1で確定した相続財産をもとに、遺留分を計算します。遺留分の計算は、「遺留分の基礎となる財産×遺留分割合×法定相続分」で求められます。遺留分割合については民法第1028条、法定相続分については民法第900条で、次のように決められています。

○遺留分割合
・直系尊属(父母)のみが相続人である場合は、被相続人の財産の3分の1とする。
・その他の場合は、被相続人の財産の2分の1とする。

○法定相続分
・子及び配偶者が相続人の場合…子の相続分及び配偶者の相続分は、それぞれ2分の1になる。
・配偶者及び直系尊属が相続人の場合…配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1になる。
・配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1とする。
・子、直系尊属又は兄弟姉妹が複数の場合…それぞれ均等に分配する。ただし、異父・異母兄弟(姉妹)の相続分は、父母が同じ兄弟姉妹の相続分の2分の1になる。

○具体的な計算例
被相続人Aさんが亡くなったとき預金5000万が残っており、なくなる半年前に2000万円の生前贈与が確認された。また、債務が1500万円あった。
相続人は妻と子ども3人のみである。

・遺留分の基礎となる財産=預金5000万+生前贈与2000万-債務1500万=5500万円
・妻と子供の遺留分合計額=5500万円×2分の1(遺留分割合)=2750万円
・妻の遺留分=2750万円×2分の1(法定相続分)=1375万円
・子どもの遺留分(1人分)=2750万円×2分の1(法定相続分)×3分の1(法定相続分)=約458.3万円

3.遺留分減殺請求の意思表示
自分の遺留分の金額がわかったら、それを侵害している相手に対し、遺留分減殺請求の意思表示を行います。相手方としては「遺言書によって沢山の遺産を相続した人」や「特別受益者」が該当するでしょう。ちなみに特別受益者とは、「婚姻・養子縁組、その他の理由で生前贈与や遺贈を受けた人」です。
これらの相手方に対し、「あなたは自分の遺留分を侵害していますので、請求します」といった内容の意思表示を行います。意思表示の方法に決まりはありませんが、証拠を残すために書面を作成し、内容証明郵便で送付するのが良いでしょう。

4.相手方との交渉
相手方が侵害している分を返す姿勢を見せたら、直接交渉に入ります。交渉の結果、無事合意したときは念のため合意書を作成しておきましょう。ただし、一度受け取った財産を素直に返す人は少なく、粘り強い交渉が必要になることが多いです。揉め事になる前に、弁護士などの専門家に依頼することも検討しましょう。

裁判所を介して調停や裁判を行う場合

直接交渉がうまくいかなかったり、意思表示を無視されたりした場合は、裁判所を介した手続きを行います。

○調停の場合(遺留分減殺による物件返還請求調停)
1.遺留分減殺請求調停の申し立て
2.遺留分減殺請求調停の開始
3.調停証書の作成

○裁判の場合
調停はあくまでも裁判所を介した話し合いですが、これでも決着がつかない場合は訴訟に移行します。
ただし、遺留分の請求額によって訴訟を提起する場所が異なります。

・140万円以下の場合…被相続人の最後の住所地を管轄する「簡易裁判所」
・140万円を超える場合…被相続人の最後の住所地を管轄する「地方裁判所」

調停や裁判を見越した相談を

今回紹介したように、遺留分減殺請求には細かな計算や書類の準備が必要です。直接交渉で解決できれば良いのですが、一度受け取った財産を素直に返還する方ばかりとは限らず、揉め事に発展するケースも少なくありません。

また、調停や訴訟には多くの書類が必要で、書類の作成だけで時間がかかってしまいます。遺留分減殺請求権には期限がありますから、できるだけ効率的に手続きを進めたいところです。

もし話し合いで決着がつかず、調停や訴訟に発展しそうならば相続に強い弁護士の手を借りるべきでしょう。

このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

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