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公正証書とは、法務省から任命された法律のプロである公証人が作成する公文書です。
さまざまな書面が公正証書で作成されることがあります。公正証書は、公証人という信頼された人が作成する点で、信用力がある文書として扱われます。それにとどまらず、執行文言を記載すれば、公正証書に記載された金銭債務を履行しない相手に対しても裁判を経ることなく 直ちに強制執行できるというメリットがあります。
また、遺言も公正証書ですることができます。
では、公正証書で遺言をすることにどんなメリットがあるのでしょうか。以下に公正証書遺言の詳細を見ていきましょう。
(1)遺言しようとする者が遺言内容を考えて、原案を作成します。
(2)公証役場に連絡して、原案を伝えて内容を確認してもらいます。公証人から求められた必要書類を用意して公証役場へ行き、公証人と内容を最終確認・検討します。
(3)公正証書遺言を作成する際に、立ち会ってもらう証人2名を決めます。もし、こちらで証人を同行させない場合でも、公証役場で働いている事務の方が立ち会ってくれます。
(4)公証人と公証役場に行く日程を調整し、必要書類を持参して公証役場へ行きます。
(5)公証人から本人確認等を受けたのち、証人2人が立ち合って遺言者が遺言の趣旨を公証人に口頭で伝えます。
(6)公証人が遺言者から聞いた内容を筆記もしくは印字し、これを遺言者及び証人に読み聞かせます。
(7)遺言者及び証人が、内容の正確なことを確認し、それぞれが、署名押印します。
(8)公証人が、「民法969条の方法に従い真正に作成された旨」を付記し、署名押印します。
(9)公正証書遺言の正本が遺言者に渡され、公証人の手数料を現金で支払います。
専門家である公証人が関わって遺言書が作成されるので、できあがった遺言状は、その内容に法的な誤りがあるとか、書き間違いがあるということがありません。
これは、遺言書がトラブルをなくすために作成されるものであることを考えると、とても重要なことです。
遺言者には公正証書の正本(謄本)が交付され、原本は公証役場で保管されます。
そのため、万が一この謄本を紛失しても再度謄本を受け取ることが可能です。さらに、第三者が書き換えたとしても、原本が保管されているので、変造はすぐに明らかになります。
なお、相続人が公証役場に問い合わせれば、遺言の存在自体が明らかになります。
公正証書遺言は、自筆証書遺言等のように家庭裁判所の検認を受ける必要がありません。
自筆証書遺言は、思い立てばすぐに作成できます。
一方で、公正証書遺言は、準備や手続に時間と手間がややかかります。
手続は先ほど述べたとおりですので、思い立ったその日に仕上がるというものではありません。
また、必要書類を準備する必要もあります。
公正証書遺言の作成には、公正証書に記載する財産の価額に応じて公証役場所定の手数料がかかります。
手数料は以下のとおりです。
100万円まで | 5000円 |
200万円まで | 7000円 |
500万円まで | 11000円 |
1000万円まで | 17000円 |
3000万円まで | 23000円 |
5000万円まで | 29000円 |
1億円まで | 43000円 |
1億円を超え3億円まで | 5000万円毎に 1万3000円 |
3億円を超え10億円まで | 5000万円毎に 1万1000円 |
10億円を超える部分 | 5000万円毎に 8000円 |
公正証書遺言について、イメージをもっていただけたでしょうか。
公正証書遺言は、自筆証書遺言と比較すると、手間や費用がかかります。しかし、その分、内容が不正確で自分の意図した相続がなされないなどのトラブルが防げますし、紛失や変造という心配もなくなります。
弁護士に文案の相談をすることもできます。公正証書遺言の作成を検討されている方は、まずお気軽に弁護士に相談してくださいね。
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遺言書
このコラムの監修者
福田法律事務所
福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)
神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。