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【孫への生前贈与は特別受益か】7つの注意点や非課税枠も詳しく解説

このページでは、子ではなく孫に対して生前贈与した場合、それは相続人である子に対する特別受益になるかどうかについて、解説します。

記事を読むと、孫へ生前贈与する際の注意点についても分かります。

孫への生前贈与は特別受益になるのか?

子への生前贈与は、相続対策によく利用されます。贈与税が非課税の範囲で少しずつ生前贈与をし、将来の相続発生時の遺産を減らしておけば、相続税を圧縮し節税することができるからです。

しかし、子は自分の相続人ですから、子に対して生前贈与をすると、それが相続時に特別受益とみなされ、遺産分割協議のときに紛争になる可能性があります。

では、子ではなく子の子、つまり孫に対して生前贈与した場合はどうでしょうか?子は自分の相続人ですが、孫は(子が相続時に存命する限り)自分の相続人ではありませんから、特別受益にならないように思えます。

結論から言えば、孫への生前贈与は基本的に特別受益にはなりません。

理由としては、特別受益を定める民法903条1項は受益者を「共同相続人中」と限定しており、相続人以外の者が受ける受益を特別受益とはみていないからです。

しかし、例外的に特別受益に当てはまるケースもあります。

孫が養子になっている

養子は相続人になりますから、孫を養子にすることによって、孫は相続人になります。

したがって、孫が養子となってから生前贈与を行った場合は、特別受益になる可能性が出てきます。ただし、どのような種類の贈与であっても特別受益になるわけではありません。

特別受益は、「生計の資本」として受けた贈与に限られます
(他にも「婚姻・養子縁組のため」の贈与という類型の特別受益もありますが、今回は孫への生前贈与を想定しているため説明は割愛します。)

祖父母が孫を養子にするのであれば、扶養義務が発生します。

その結果、生活費や教育費は「生計の資本」として交付した財産ではなく、扶養義務の履行と評価され、特別受益とは考えにくくなります。

他方、扶養義務を超える金銭の贈与は、特別受益とみなされることになるでしょう。

つまり、孫が養子となっており、かつ「生計の資本」として生前贈与を行っていたのであれば、特別受益に含めることになるのです。

子が孫の扶養義務を怠った

子(孫の親)が扶養義務を怠った場合、孫への生前贈与が特別受益になることがあります。

例えば、孫の親である子が失踪するなどして自らの子(被相続人から見た孫)の扶養義務を怠り、祖父母が孫を扶養することになった場合は、生前贈与が子に対する特別受益となることはありえます。

本来、孫を扶養するのはその親である自分の子の義務ですから、自分の子に代わって孫を扶養したのであれば、それは孫の扶養にかかる金銭を子に与えたと同様にみなせるからです。

ただし、孫を養子にした場合と同様に、扶養義務の範囲内での贈与は、特別受益にならないと考えるのが一般的です。

孫名義での生前贈与だが実質は子への贈与である

孫に対して生前贈与を行っていたとしても、実質的に子(孫の親)への贈与であると評価される事情があれば、特別受益になることがあります。これは、先ほどの孫を扶養した場合と同じです。

例えば、孫に大学の入学金を贈与するとして、入学金の納入義務が保護者である子(孫の親)にあった場合には、その贈与は実質的には孫ではなく子への贈与と評価されることが多いでしょう。

特別受益の持戻しの免除とは?

孫への生前贈与が特別受益になる場合、遺産分割の具体的相続分の計算において、特別受益を受けた分だけ相続分を減額し調整することになります(民法903条1項)。

簡単に言えば、生前贈与を特別受益としてもらっていたら、遺産分割の際にもらえる分は減る、ということです。
これを「特別受益の持戻し」といいます。

しかし、贈与を受けた分が特別受益であっても、亡くなった人が特別受益の「持戻しの免除」の意思を表示していた場合は、特別受益があったとしても具体的相続分の計算には含めません(民法903条3項)。

つまり、孫への生前贈与が特別受益となっても、持戻し免除の意思表示があれば、遺産分割において調整する必要がなくなるのです。

例えば「○年○月に孫の入学金を肩代わりして出した○○万円については、相続において子(孫の親)の持戻しを免除する」といったような内容です。

特別受益の持戻し免除の意思表示をする方法

持戻し免除の意思表示をする方法は、口頭でもよいとされています。
しかし、特別受益に対して持戻し免除の意思表示があったかなかったかは、特別受益のある相続においてしばしば争いになります。

ですので紛争を未然に防ぐ意味では、孫に対する贈与契約書を作成する際、この贈与分に関しては子(孫の親)の特別受益の持戻しを免除する、という一文を入れておくことが望まれます。

あるいは、遺言書に「○年○月○日の●●万円の贈与については持戻しを免除する」という趣旨の内容を入れておくことで、持戻し免除の意思表示を明確にしておくことも考えられます。

持戻し免除については、こうすることで相続後のトラブルを最小限に抑えることができるでしょう。

持戻し免除の意思表示は遺留分侵害額請求には影響しない

特別受益となる生前贈与によって、のちの相続において他の相続人の遺留分を侵害することになる場合があります。子が複数いるのに、1人の子の子(孫)に遺産の全部を生前贈与してしまったような場合です。

先ほど、持戻し免除の意思表示がある生前贈与は具体的相続分の算定には影響しないと言いましたが、同じように持戻し免除の意思表示があれば遺留分の算定においても生前贈与は無視できるのでしょうか。

これに関しては最高裁の判例があり、特別受益に対する持戻し免除の意思表示は、遺留分侵害の限度で持戻し免除の意思表示が効力を失うと述べています(最高裁平成24年1月26日決定)

ですので、他の相続人の遺留分を侵害してしまう可能性がある生前贈与に関しては、たとえ持戻し免除の意思表示をするとしても、紛争を防ぐ観点からは慎重であるべきです。

もし、孫への生前贈与が特別受益になるかどうかで困っている場合には、まずは一度、遺産問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。

孫へ生前贈与をする際の注意点

孫へ生前贈与する際の主な注意点として、次の7つが挙げられます。

  ・扶養義務の範囲内だと贈与税はかからない

  ・贈与契約書を作成する

  ・毎年の贈与なら贈与日・贈与額を毎回変える

  ・孫が18歳以降になると自分で財産管理する

  ・教育資金などの特例贈与へ対応できる金融機関を確認する

  ・特例贈与の非課税枠を使い残すと贈与税がかかる

  ・贈与税の申告・手続きを必ず行う

以下で詳しく見ていきましょう。

扶養義務の範囲内だと贈与税はかからない

祖父母から孫への経済的支援が贈与税の対象になるかどうかは、その使途によって異なります。

扶養義務の範囲内であれば、贈与税は発生しません。

以下のケースは扶養義務の範囲内と判断され、原則として贈与税の課税対象外です。

・祖父母が孫の教育費を直接学校や塾に支払った

・一人暮らしをしている孫に生活費を仕送りした

ただし、孫が受け取ったお金を貯蓄や投資に回している場合は、扶養義務の範囲を超えると判断され、贈与税が課される可能性が高くなります。

この判断基準は「実際の使途」によるものなので、明確に区別することが重要です。

さらに、扶養義務の範囲内かどうかの判断は、個々のケースによって異なります。特に高額な場合は、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

 

贈与契約書を作成する

孫への生前贈与を行う際、贈与契約書の作成は不可欠です。

 贈与契約書は、贈与の事実を明確に示し、将来的なトラブルを防ぐ役割を果たします。

 贈与契約書には、以下の内容を含める必要があります。

  ・契約締結日

  ・贈与者(祖父母)の住所・氏名などの情報

  ・受贈者(孫)の住所・氏名などの情報

  ・贈与財産の詳細(種類・金額など)

  ・贈与する日

  ・贈与の方法(金融機関口座への振り込み・現金など)

さらに、贈与者と受贈者の署名・捺印が必要です。署名は手書きで行い、印鑑は実印を使用します。

 贈与契約書を作成するメリットは以下の通りです。

  ・当事者間の認識の相違を防ぐ

  ・相続時のトラブルを回避

  ・税務調査での不利益を防止

贈与の都度、贈与契約書を作成することで、贈与の意思と内容を明確に記録できます。

 将来的な相続人の間の争いを、未然に防止できるでしょう。

毎年の贈与なら贈与日・贈与額を毎回変える

孫へ生前贈与する際には、定期贈与とみなされないよう注意が必要です。

 孫の誕生日など毎年同じ日に、同額の贈与を続けると、税務署から疑いの目を向けられる可能性があります。

 定期贈与を回避するためのポイントは以下の通りです。

  ・贈与日を変える:毎年異なる日付で贈与する

  ・贈与額を変動させる:110万円以内で金額を変える(ある年は95万円、翌年は105万円など)

  ・贈与の理由を明確にする:贈与契約書に具体的な理由を記載する

これらの対策により「連年贈与」として認められる可能性が高まります。

 ただし、10年間で1,000万円の贈与を計画している場合、税務署から「定期贈与」と判断される恐れがあります。

 適切な方法で孫へ生前贈与すれば、相続税対策としても有効に機能するでしょう。

孫が18歳以降になると自分で財産管理する

20224月からは18歳で成人となり、この時点で孫は自分の財産を自ら管理する権利と責任を持つことになります。

孫が幼いうちは親権者(両親など)が通帳や印鑑などの財産管理を代行しますが、成人後は孫自身に移行します。

注意すべきは、成人後も親が継続して管理していると、税務上「親名義の預金」とみなされるリスクがあることです。

このような事態を避けるためには、贈与時に将来の管理移行について文書で取り決めておくことや、成人を機会に孫自身への名義変更手続きをすることなどが考えられます。

教育資金などの特例贈与に対応できる金融機関を確認する

祖父母から孫への生前贈与の1つである「教育資金の一括贈与」の特例制度を活用する際には、対応可能な金融機関を確認しましょう。

手続きをするには、専用口座の開設が必須条件となります。この口座は受贈者である孫の名義で開設し、祖父母(贈与者)が入金します。

教育費の支払いが発生した場合、領収書などの証明書類と引き換えに出金できる仕組みです。

全ての金融機関がこれらの特例贈与に対応しているわけではありません。事前に利用予定の金融機関に問い合わせ、専用口座の開設可否や必要書類、手数料などの確認が必要です。

金融機関が税務申告を代行するため、孫自身が贈与税申告する必要がない点はメリットといえるでしょう。

特例贈与の非課税枠を使い残すと贈与税がかかる

教育資金の一括贈与特例では、孫が30歳になった時点で使い切れなかった金額のうち、110万円を超える部分に贈与税が課されます。

例えば500万円を贈与し、300万円が使い残された場合、110万円を差し引いた190万円に贈与税がかかることになります。

これを回避するためには、贈与時に将来的に必要な資金の使途を十分に検討し、必要額を見極めることです。

過剰な贈与は、後々の課税によって本来の目的の節税メリットを損なう可能性があるため、専門家の助言を得ながら計画的に進めましょう。

贈与税の申告・手続きを必ず行う

孫へ生前贈与する際に、贈与税の申告・手続きを怠ると思わぬペナルティを受ける可能性があります。

 贈与税の申告が必要となるケースは、主に以下の通りです。

  ・暦年課税制度で基礎控除(110万円)を超える贈与を受けた場合

  ・相続時精算課税制度を利用する場合(非課税枠内でも申告が必要)

  ・住宅取得資金贈与の非課税特例を利用する場合

申告期間は、贈与を受けた翌年の21日から315日までです。この期間内に、受贈者である孫が申告・納税する必要があります。

 申告を忘れると、追徴課税などのペナルティが科される可能性があります。

 適切に申告することで将来的なトラブルを回避し、円滑な資産移転を実現できるでしょう。

まとめ:孫への生前贈与は弁護士にご相談ください

孫への生前贈与は、原則として特別受益にはなりません。ただし、この記事で説明したように下記のケースでは、例外として特別受益に当てはまる場合があります。

・孫が養子になっている

・子が孫の扶養義務を怠った

・孫名義での生前贈与だが実質は子への贈与である

それぞれのケースに応じて判断する必要がありますので、相続問題に詳しい実績と経験が豊富な弁護士に相談してください。

 

このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

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