自分の住んでいる家が相続の対象になっている | 神戸相続弁護士 福田法律事務所

WEB相談も受け付けております
078-366-6760

電話受付 9:00~17:00 (平日)

相続コラム画像

自分の住んでいる家が相続の対象になっている

賃貸住宅に居住しているとして、借主もしくは貸主が亡くなって相続が起こったら、どのように対処すれば良いのでしょうか?

また、人間関係によって無償で家に住まわせてもらっていた場合、相続が起こったら貸借関係が終了することになるのかも問題です。

今回は、相続が発生した場合、借家に住み続けることができるのかどうかやその対処方法をご説明します。

賃貸住宅の場合

借主が死亡した場合

賃貸アパートなどに入居している場合に借主が死亡すると、相続人であっても家を追い出されてしまうのでしょうか。

この場合、賃貸借契約などが相続人に引き継がれないと賃貸借契約が終了してしまうので、貸主から家を追い出されてしまいかねません。そのため、相続が生じた場合でも賃貸借契約を継続させられるのかが問題となります。

そもそも、賃貸借契約によって、借主は賃借権という権利を取得します。そして、この賃借権は相続の対象となります。そのため、賃借権を相続した相続人は、被相続人である借主の地位を引き継ぐことができます。

賃貸借契約の内容はそのまま相続人に引き継がれることになるので、相続を理由として当然に契約条件が変更されることはありません。

つまり、相続をきっかけとして、賃料が当然に増額することはありませんし、更新料が必要となることもありません。また、賃貸借契約が終了すれば、被相続人が差し入れていた敷金の返還を受けることもできます。

このように、契約内容はそのまま引き継がれるため、必ずしも契約書を書き直す必要はありません。ただし、契約によっては、賃借人の死亡を終了原因とした賃貸借契約の規定があることもありますので、契約内容は確認するようにしてください。

ここで注意が必要なのが,公営住宅の場合です。

公営住宅の場合には、低額所得者に対して低廉な家賃で住居を提供するという趣旨を踏まえれば、相続人であるからといって当然に公営住宅を使用する権利を取得するわけではないという最高裁の判例があります。

公営住宅の場合には、一定の条件を満たし、事業主体の承認を受けなければ、引き続き居住する権利は保障されないことになります。

貸主が死亡した場合

賃貸不動産の所有権も、通常の不動産と同じく相続の対象となります。

そして、所有権の移転に伴って、貸主の地位も移転します。賃貸不動産の所有権を相続した相続人は、被相続人の貸主としての地位をそのまま承継します。そのため、貸主が亡くなっても賃貸借契約は終了せず、借主は不動産に住み続けることができます。

ここで問題となるのが、誰に賃料を支払えばよいのかという点です。

法律や判例では、遺産分割協議によって相続人が決まるまでの間、賃料は相続人全員に帰属するとされています。

もっとも、借主が大家さんの相続人全員を把握することは通常困難なので、通常は相続人の代表者に賃料を支払うことになるかと思います。

万が一、相続人の代表者が決まっていなかったり相続人間で揉めていたりして、誰に支払いをすればよいのか分からない場合には、法務局に供託する必要があります。

無償で居住していた場合

借主が死亡した場合

次に、無償で不動産に居住していたケースがあります。このように無償で他人の物を借りることを「使用貸借」と言いますが、使用貸借関係は相続によって引き継がれるのでしょうか?

相続の大原則の中に、一身専属的なものは相続の対象にならないというルールがあります。
そして、使用貸借契約に基づく借主の地位は、借主のみに専属する一身専属的な地位とされているので、相続の対象にならないと規定されています(民法597条3項)。そのため、借主が死亡して相続が開始すると、貸主から立ち退きを求められる可能性が高いといえます。

もっとも、具体的事情によっては、使用貸借は借主の死亡によっても使用貸借が終了しないと判断されるケースもあります。

例えば、自宅を建てるために敷地だけ使用貸借しているケースで、借主が死亡しても引き続き自宅に住む人が他にいる場合などです。

これはケースバイケースですので、具体的な判断は弁護士に相談されるのがよいでしょう。

貸主が死亡した場合

これに対し、貸主が死亡した場合、権利関係は原則的に引き継がれると考えられているので、借主はそのまま無償で居住することがでます。

ただし、使用貸借関係においては、「期間や使用の目的を定めていない場合、貸主はいつでも返還を請求することができる」とされています。また、期間を定めた場合であっても、「使用貸借に必要な期間が経過した」場合にはやはり返還請求ができると規定されています。

そこで、相続開始後、相続人からこれらの規定にもとづいて、立ち退きを求められる可能性が高いです。

この場合にも住み続けることを希望するのであれば、新たな貸主となる相続人との間で改めて使用貸借もしくは賃貸借等の契約を結ぶ必要があります。

このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

この記事と関連する相続コラム

遺産分割における不動産の評価の仕方

不動産の相続を共有名義にしても問題ないか

相続における土地や不動産の時効取得とは?

相続人の誰もが空き家の相続不動産を引き取りたがらない場合

借地上の建物を相続した場合の手続きや注意点とは?

相談実績年間100件以上! 実績豊富な3名の弁護士が在籍!

神戸で相続・遺産分割のお悩みは、
福田法律事務所にお任せください。

(初回60分 相談無料 ご予約で夜間/休日対応可能)