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隠し子が相続人と遺産分割後に判明した場合や相続させない対処法を解説

隠し子の相続問題でお悩みの方は必見。この記事では、隠し子が相続人として判明した場合の対処法や相続させない方法を詳しく解説しています。実は隠し子の相続権は法的に保護されており、適切な対応が必要です。この記事を読めば隠し子の相続問題を正しく理解し、適切な解決策を見つけられるでしょう。

隠し子には法律上定められた相続権があります。隠し子であっても認知されていれば、正当な相続人として権利を持つからです。

遺産分割後に相続人が増えた場合は、どのような手続きをすることになるのでしょうか?今回は遺産分割協議を終えた場合と、既に遺産分割をしてしまった場合に分けて解説していきます。

この記事を読むと隠し子が相続人となった場合の正しい対応方法が理解できるでしょう。早期に専門家に相談し、法的根拠に基づいた適切な手続きを進めることが大切です。

隠し子が遺産分割協議後に新たに相続人と判明した場合

遺産分割協議の完了後に隠し子がいたことが判明すると、大きな問題が生じます。認知された隠し子は法定相続人となるため、遺産分割協議の無効や再協議が必要になる場合があるでしょう。隠し子の相続権は他の子と同等であり、適切な法的手続きが必要です。

隠し子が相続人と判明すれば遺産分割協議をやり直す必要がある

すべての相続人は、いつでも遺産分割協議をして遺産分割ができます(民法第907条)。そのため、遺産分割協議中もしくは遺産分割協議成立後に相続人が増えた場合は、遺産分割協議をやり直す必要があります。

隠し子が認知されているかどうか

被相続人に認知された子は、隠し子であっても、相続人として遺産を相続する権利があります。逆に言えば、認知されていなければ、相続人ではありません。認知していたかどうかは、亡くなった人の戸籍で確認することができます。

隠し子が認知されていることを知りながら遺産分割した場合

隠し子が認知されているかどうかは、戸籍を取得することで確認できます。

相続によって不動産の名義変更をする際に法務局などへ「相続関係説明図」を添付資料として提出することになっている他、相続税申告時に亡くなった人の戸籍謄本の提出が求められています。そのため、被相続人の戸籍(除籍)を確認する機会は多々あります。

戸籍で認知が確認できる状態になっているならば、大きなトラブルに発展しないようにしっかりと相続人としてカウントするようにしましょう。

遺言で隠し子を認知していた場合(遺言認知)

遺言によって隠し子を認知していた場合、死後訴訟によって「死後認知」として認められれば、相続人の地位を得ることになります。

もし遺産分割協議が終わっていなければ、非嫡出子として遺産分割協議に参加することができます。

父親の意思で隠し子を認知していた場合(任意認知)

父親が自らの意思で隠し子を認知する「任意認知」は、外部に対し親子関係を認めさせる法的な手段です。婚姻関係にない男女の間から生まれた子どもに対し、父親が出生届とは別に認知届を提出することで行われます。認知が成立すると、子どもは出生のときから認知した父親の嫡出ではない非嫡出子として、法律上の親子関係が認められます。

認知には法的な効力があり、原則として一度成立すると取り消せません。相続においては、任意認知された隠し子は他の相続人と同じく法定相続人となり、遺産を相続する権利が発生します。認知していた事実が後で判明した場合でも、遺産分割協議のやり直しが必要となるため注意しましょう。

特別養子縁組を経た子どもの相続権について

特別養子縁組制度により新しい家族の一員となった子どもは、生物学的な親からの相続権を失います。この制度の特徴は、実の親子関係を法的に消滅させ、養親との間に完全な親子関係を新設することです。そのため、婚外子であっても特別養子縁組が成立すれば、元の親に対する法定相続人としての地位は消失します。

離婚した前配偶者との子が特別養子縁組により他家に引き取られた場合、その子は元の親の財産を相続する法的権利を持ちません。この点で、実親との関係が維持される普通養子縁組とは根本的に異なる制度設計となっています。養子となった子の相続権は、新たな養親家族においてのみ発生します。

相続権のある隠し子は他の子どもと同じ相続割合がある

隠し子の相続分は、201394日の最高裁判所大法廷判決により大きく変わりました。以前は、民法により非嫡出子の相続分は嫡出子(婚姻中の夫婦間に生まれた子)の2分の1と定められていました。

しかし、最高裁判決は、非嫡出子の相続分を差別する民法の規定が憲法に違反すると判断したのです。当判決を受け、同年12月には民法が改正され、嫡出子と非嫡出子における相続分は同じになりました。

判決後認知を受けた隠し子への相続分は、他の全ての子どもたちと等しい割合です。遺産分割をする際は、隠し子も他の子どもと同様に扱わなければなりません。

既に遺産分割をしてしまった後に隠し子の存在が判明した場合

遺産分割が終了した後に隠し子の存在が判明した場合、隠し子は他の相続人へ自らの相続分相当の金銭を請求できます。遺産分割のやり直しは不要ですが、金銭での請求が認められます。

隠し子は相続人に対して自分の相続分を支払うよう請求できる

不動産の名義変更や銀行預金の解約手続き等を行うなど、既に遺産分割を終えてしまった場合は、隠し子は金銭の支払請求権を行使することで、自分の相続分を確保することが可能となります(民法第910条)。

遺言による相続が終了していた場合でも、遺留分が侵害されていれば、遺留分侵害額請求によって支払請求されることもあります(民法第1046条)。

隠し子が有する相続の請求権は5年で時効となる

遺産分割協議後や遺産分割後に隠し子であることが発覚した相続人が、自分の相続分を主張できる権利は、民法第884条の相続回復請求権に準じて、認知されてから5年で時効となります。

5年経過後に隠し子が自分の相続分を請求しても、相続人は支払う必要はないということになります。また、隠し子が自分の相続分があることを知らないまま相続開始から20年経過した場合も、その請求権は時効によって消滅します。

隠し子に相続させない場合の対処法

隠し子に相続させない場合には主に次の対処法があります。

  • 隠し子に相続放棄してもらう
  • 隠し子の相続分は遺言書で減らす

以下では注意点とともに説明します。

1.隠し子に相続放棄してもらう

隠し子に相続させない方法の1つは、相続放棄です。相続放棄とは、相続人が自らの意思で相続権を放棄する手続きのことです。相続放棄により、隠し子を相続人から外すことができます。

ただし、相続放棄は、相続人が自分の意思に基づいて行うのが前提です。他の相続人が隠し子に対し、無理やり相続放棄を迫ったり、不当な圧力をかけたりできません。無理に相続放棄を求めれば、隠し子の持つ正当な相続権を侵害する行為と見なされる可能性が高いです。

相続放棄は、家庭裁判所に申述書を提出して行います。隠し子が自らの意思で相続放棄に応じる場合は有効な方法ですが、慎重に進める必要があるでしょう。

遺言書により婚外子の相続割合を調整する方法

遺言書の作成により、婚外子への相続割合を大幅に減少させることが可能です。被相続人の生前意思は、遺産分割において最優先で尊重される原則があります。適切な遺言書を準備し、財産配分の詳細を明記することで、法定相続分とは異なる割合での相続ができます。

ただし、完全に婚外子排除することはできません。日本の相続法では「遺留分制度」が設けられており、法定相続人には最低限度の相続分が保障されています。婚外子についても、この遺留分権利は法的に認められているため、全く相続させないという選択肢は取れません。

注意点として、婚外子の存在が相続開始後に判明するケースでは、複雑な感情的対立や法的紛争に発展する可能性が高くなります。このような状況を避けるためにも、生前の段階で専門家である弁護士への相談を検討されることをおすすめいたします。

隠し子の相続に関することは当法律事務所までご相談ください

遺産分割後に隠し子が判明し、どのように対応すればよいのかわからないときは、相続に強い弁護士へ相談してみましょう。どんなに複雑な問題も、法律の専門家へ依頼すれば意外な解決方法が見つかるケースが出て来ることがあります。

隠し子の相続でお悩みのある方は当法律事務所までご相談ください。

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このコラムの監修者

  • 福田大祐弁護士
  • 福田法律事務所

    福田 大祐弁護士(兵庫県弁護士会)

    神戸市市出身。福田法律事務所の代表弁護士を務める。トラブルを抱える依頼者に寄り添い、その精神的負担を軽減することを究極の目的としている。

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